iGallery DC



高馬浩展
KOMA Hiroshi


高馬浩展の展示風景です。



各壁面の展示をご覧下さい。
画廊入口から見て、左側の壁面です。



左から、タイトル「遠景」で、サイズF6、「ユーカリ2」でP10、「毛布」でP6です。
手前のカウンターの上の立体は、左が「(petal)」で95(H)×98W)×38(D)cm、右が「peaks」で75×70×110です。



正面の壁面です。
左が「浅い海」でF30、奥が「薄日」でP6です。



正面壁面の裏にあるミニキッチンの平面に展示された作品です。
「北壁」でP6です。



右側の壁面です。
左から「川底」でP8、「薄布」でP10、「夏の前」でP6、「土手」でP6です。

以上の12点で高馬浩展は構成されています。
平面作品はキャンバスに油彩、立体作品は大理石を使用しています。



左壁面の「遠景」です。
一見は単色の色面に見えますが、目が慣れてくると色に濃淡があるのがわかります。
タイトル通り、遠景を描いた作品ですが、それはあくまでも手掛かりのようなもで、風景そのものを描こうとしたものではありません。


「ユーカリ2」です。
ユーカリはユーカリの木の別名で、フトモモ科の常緑高木です。
この作品にはほとんど濃淡がありませんが、所々に樹木を思わせる、細い線が描かれています。


「毛布」です。
よく見ると毛布の襞が見えます。



正面の「浅い海」です。
これも浅い海を描いたものを思われますが、形容しがたい美しい色彩の作品です。



ひだりは正面(エアコンの下)壁面の「薄日」で、右はミニキッチンの壁面の「 北壁」です。
2点とも無彩色に近い作品ですが、なぜかタイトルがピッタリきます。



右壁面の「川底」です。
最初は単色に見えますが、2分ほどじっと見ていると、川底が表れてきます。



「薄布」です。
この作品は「毛布」同様、描かれているものがわかりやすい作品です。
といっても、タイトルを見なければ不明と思いますが。



左は「夏の前」で、右は「土手」です。
じっと見ていると、浮かんでくる景色がとても面白い。



カウンターの上に置かれた立体2点です。
左は「(petal)」で右は「peaks」です。
petalは花びら、花弁、peaksは頂点、山頂、先端などの意があります。
絵画作品と通ずる繊細さを持った立体です。


高馬浩さんは、作品発表当初、絵画と彫刻を同時に展示するという独自のスタイルを採ってきました。
近年は絵画に比重を置いた発表が続いていますが、絵画の画面は少しずつ変化しています。

初期の絵画には風景らしきものが描かれていました。
その風景は、原初の風景(神話的世界)を思わせるようなものでした。
しかしそこには確固たるモチーフがあったわけではなく、どちらかといえばエネルギー(運動)そのものの状態を描いたものでした。
それを言葉で表せば、「気」が最も安定していて穏やかさと緊張感が両立した状態、全てが運動していながら調和のとれている状態、といったものです。

その基本的なテーマは変わらず、画面は変化していきました。
徐々に具象的な描画が少なくなり、フラットな平面へと変わっていきました。
しかし今度は逆にモチーフがあって、それを描く方向にシフトしています。
例えば、前回の個展。
それは、一見すると単色の色面に見える絵画ですが、時間をかけて見ていると、布の襞(ひだ)や皺(しわ)のようなものが見えてきます。
高馬さんに伺うと、幾つかの作品はカーテンや毛布をモチーフに描いたそうです。
しかし、そのことはさして重要ではありません。
高馬さん自身の言葉で語っていただければ、以下のようになります。

具象的な形態に、それほど重要な意味は感じていない。
対象(モチーフ)は、具体的なものであっても、そうでなくても、かまわないと思っている。
明確な像が結ばれることよりも、予感や気配といったようなものを、際だたせたいと思う。
そこでは、はっきりした色彩や形態などは、かえって信頼できないものになっていく。
均質な画面は、深いところの知覚を映す鏡のようなものであってほしいと思っている。
普遍性への憧れと、同時に、不信を覚えながら。

一見すると、均一でフラットな平面。
それは独特の美しい中間色ですが、この色調は高馬さんの絵画の最大の特徴です。
ギャラリーの白い壁面にバランス良く展示された、絵画。
インスタレーションの作品ではありませんが、空間を強く意識させる、空間と不分離の作品です。

具体的な形態、それは実際の風景や物であったり、もしくは、それらを写した写真です。
しかしその形態は、描くことのきっかけに過ぎません。
風景を描くのでなく、風景という具体的な形態を借りて、そこから生み出されるものに重点が置かれています。
それは、高馬さんの言葉を借りれば「予感や気配」といったものです。

ギャラリーで高馬さんの絵画と対面する。
数分見ていると、最初は単色の色面に見えたものから、ぼんやりと何かが見えてきます。
しかし確たる象を結ぶまでは行きません。
それは高馬さんの用いる美しい色彩が中間であり続けるのと同じです。

しかしわたしたちはここで、絵画を見るという一般的な行為の奥に連れて行かれます。
「深いところの知覚」で絵画と対面することになります。
そこで感じるのは、絵画の豊潤や本質です。
絵画という表現が持つ、独自の奥深さです。

残念ながら、それを感じていただくには、ギャラリーに足を運んでいただくしかありません。
このページの画像は、高馬さんの絵画の図面に過ぎません。
絵画から遠く離れたように見えて、その実、絵画そのものである作品。
それが高馬さんの絵画作品だと思います。
(小さな彫刻作品もしかり、です。)

ご高覧よろしくお願い致します。

高馬浩略歴

2000年藍画廊個展
2001年藍画廊個展
2002年藍画廊個展
2003年藍画廊個展
2005年藍画廊個展
2006年藍画廊個展
2007年藍画廊個展
2008年藍画廊個展
2009年藍画廊個展
2010年藍画廊個展
「美」と「術」2003

プライスリスト
作品の価格は2011年末まで有効です。
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fuku-mac@@kc4.so-net.ne.jp
(*お手数ですが@を一つ取ってから送信してください。)


iGallery DC  高馬浩展


会期:2011年3月6日(日)〜4月3日(日) 
開廊日:木・金・土・日
時間:12:00〜19:00


会場アクセスと展覧会スケジュール