高馬浩展の展示風景です。
画廊入口から見て、正面と右側の壁面です。 壁面左から、作品タイトル「分布(ボーダー)」で、サイズF80号、 「分布(下降)」で、F40号、 「分布(すこしのオレンジ)」で、F40号です。 |
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入口横右の壁面です。 壁面左から、「風景(道)」で、F8号、 「風景(湖の島)」で、F8号。 手前立体、奥から「move」で、117×77×66mm、 「直立」で、123×83×52mm、 「傾斜」で、105×72×61mmです。 |
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左側の壁面です。 「分布(すこしの青)」で、F80号です。 |
画廊内の展示は以上の九点で、その他道路側ウィンドウに平面作品一点、芳名帳スペースに立体作品一点があります。
平面作品はキャンバスに油彩、立体作品はアユースを使用してます。
左壁面の「分布(すこしの青)」です。
この作品に限らず、平面の作品はグレーの色面に見えます。
作品の前に立ち、眺めていると、徐々にディテールが現われてきます。
上の作品のタイトルは「分布(すこしの青)」で、その名の通り、左上部に青みが見えます。
タイトルは作品完成後に、作者によって付けられています。
正面壁面の「分布(ボーダー)」と「分布(下降)」です。
いずれも何かを描いたのではなく、何かが描かれた作品です。
いや、もっと正確に言えば、ある状態が存在している様(さま)です。
右壁面の「分布(すこしのオレンジ)」です。
僅かなオレンジが見えるでしょうか。
次は立体作品をご覧下さい。
素材のアユースは、バードカーヴィングやフィッシュカーヴィングの彫刻材で、大変削り易い木です。
立体作品も、平面同様、何かの状態がそのまま存在しています。
モデルがあったり、何かを彫ろうとしたものではありません。
画廊で作品を見ている(作品に囲まれている)と、とても心が落ち着きます。
一つ一つの作品の状態が共鳴して、画廊に穏やかな空間を出現させています。
美しい作品が作りだした、美しい空間です。
作品は、景や態を描いたものでなく、景や態そのものです。
平面作品を例に取りましょう。
作家の前にあるのは、一枚の白いキャンバスです。
その画面から出発して、作家は絵具を使って、ある状態が現われるまで描き続けます。
画面はパレットのようなもので、そこで絵具を混ぜ、色と形を為していきます。
ある状態とは、(恐らく)世界の出現です。
何ものでもない、世界そのものの出現です。
そうとしか名付けようがない、景や態が生まれるまで、作家は作業を止めません。
あるいは、作家とは助産婦のようなもので、世界の出現を助ける(見守る)存在かもしれません。
作品や空間の美しさは、そこに主張がないからです。
作品は、ただ在るだけで、何も語っていません。
空間も、ただ在るだけです。
それでいて、すべて(世界)がそこに在ります。
だから、語る必要がないのです。
ご高覧よろしくお願いいたします。
2000年藍画廊個展
2001年藍画廊個展
2002年藍画廊個展
2003年藍画廊個展
2005年藍画廊個展
「美」と「術」2003