高馬浩展の会場風景です。
画廊入口から見て、正面と右側の壁面です。
左の平面は、「薄景 2」(F40号)でキャンバスに油彩です。
(以下平面はすべてキャンバスに油彩を使用しています。)
中央床置きの立体は、「海 3」で材質は桂。
右の壁面に設置された立体は、左から「小松 2」(8.2×9.2×6.4cm)、「小松 1」(8.7×7.3×7cm)で材質はアユースです。
次は入口横右の壁面です。
上でご紹介したアユースの作品の向こう側に見える平面三点。
左から、「薄景 5」(F3号)、「薄景 4」(F3号)、「薄景 3」(F3号)です。
続いて左側壁面です。
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平面は「薄景 1」(F40号)です。 床の立体は手前から、「海 1」(6.5×11×9cm)、「海 2」(14×21×10cm)で材質は共に桂です。 以上が画廊内の展示で、この他道路側ウィンドウと芳名帳コーナーに平面(F6号)が各一点展示されています。 |
平面と立体を同時に制作して展示するのは高馬さんの方法です。
前回の個展は以前より平面への比重が大きくなりましたが、今回もその流れの中にあります。
まず目につくのは正面に展示された「薄景 2」。
オレンジ色の作品です。
題名の通り、薄く延ばされた絵具で「景」を描いた作品です。
今までの高馬さんの平面にも色は見え隠れしていましたが、ここまで鮮明な色は初めてです。
この作品と作品サイズが同じで対に見えるのが、下の「薄景 1」です。
「薄景 2」に比べれば従来の高馬さんの平面を踏襲していますが、右上のブルーの部分を中心に色を意識させられる作品です。
会場内で展示を見ていると、上の二点のオレンジとブルーがわたしには呼応しているように感じられました。
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木(桂)をグラインダーで刻むと、その摩擦熱で黒く焦げて模様が出来ます。 グラインダーのペインティングともいえる立体作品です。 高馬さんの方法論を最も特徴づけている作品ですが、これらの立体も展覧会を重ねるごとに微妙に変化しています。 |
平面と床の焦げた立体の中間に展示されているがアユースの立体二点です。
アユースはバードカーヴィングやフィッシュカーヴィングの彫刻材として有名で、大変削り易い木です。
柔らかい木ですからグラインダーで刻んでも、桂のようには焦げません。
この白木の立体が展示の(高さの)中間にあります。
小さな立体ですが、展示のポイントになっていて、重層的な空間を作りだしています。
撮影後、高馬さんから作品制作について少しお話を伺いました。
印象に残ったのは、「何かを作る、という事は考えていない」という言葉です。
制作の最初に作るもののイメージを持たず、制作の過程で作品が生みだされるという意だと思います。
そこで重要になるのは作品制作の方法論です。
どのような方法で作品を作品として確立していくか、ということです。
この方法論に平面と立体の区別がないのが高馬さんの特質です。
方法を確立して制作していくプロセスは、作品の上では作品の状態の変化になります。
木を一定の方法論で刻んでいけば、木は形を変えたり、焦げたりして、変化し続けますね。
おそらく高馬さんはその状態の変化を注視して、素材と対話しながら制作を進めていると思います。
変化するのはイリュージョンではなくて状態です。
状態とは、喩えてみればエネルギーの交換や循環が一番安定している有様、あるいはその運動のことです。
そのような状態になったとき、高馬さんは筆(グラインダー)を置くのではないでしょうか。
ご高覧よろしく御願いいたします。
2000年藍画廊個展
2001年藍画廊個展
2002年藍画廊個展
2003年9月1日(月)-13日(土)
11:30am-7:00pm(最終日6:00pm)
会場案内
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