みわはるき展
《唇 VI》
MIWA Haruki
みわはるき展の展示風景です。
画廊入口から見て、正面と右側の壁面です。
左から、作品タイトル「kuchibiru VI no.9」で、作品サイズF0、
「kuchibiru VI no.4」で、F80、「kuchibiru VI no.6」(上)で、F80、「kuchibiru VI no.3」(下)で、F80です。
入口横右の壁面です。
「kuchibiru VI no.5」で、F80です。
左側の壁面です。
「kuchibiru VI no.2」で、F80、「kuchibiru VI no.7」で、F3です。
以上の七点が画廊内の展示で、その他道路側ウィンドウに一点、芳名帳スペースに二点の小品展示があります。
作品は綿布、水性キャンバスにアクリル絵具を使用しています。
左壁面の「kuchibiru VI no.2」です。
みわさんの唇シリーズも今回で六回目。
当初から仮象としての唇でしたが、ますます唇には見えなくなってきました。
あるのは、形と線と色彩の交錯。
前回に比べると、色彩の濃度が薄まった感じがします。
アッサリした印象です。
かといって、落ち着いたわけでもありません。
激しい動きを見せていた輪郭部分も、大人しくなっていますが、動きは依然として健在です。
同じく左壁面の小品「kuchibiru VI no.7」です。
この作品は前回を継承しています。
白く抜いた輪郭部分の逸脱(?)が、それです。
右壁面の二段重ねに展示された 「kuchibiru VI no.6」と「kuchibiru VI no.3」。
展示方法にもいつも工夫を凝らすみわさんらしい、思い切った見せ方です。
一見静かに見える画面ですが、今回の特徴は、白く抜いた唇の輪郭部分の在り方です。
入口横右の壁面の「kuchibiru VI no.5」です。
白く抜いた部分に描かれた色彩の帯。
その帯を黒い線で囲んで強調しています。
これが、今回のハイライトだと思います。
アウトラインを与えられた色の帯。
これが唇全体を回る感じで、動いています。
みわさんの絵画を見ていつも感じる、生命の躍動が、今回はこの帯とアウトラインに集中的に表れています。
血管のように、唇(という生命体)を駆け巡る色の線。
その動きに、いつものような激しさ、濃さはないものの、速度と、瑞々しさがあります。
みわさんの絵画は難解かもしれません。
このことに以前触れたかどうか忘れましたが、そう思われているようです。
その一つに、画面がフラットな印象を受けることが挙げられます。
つまり、綿密に描き込まれてはおらず、他方、地を主体とした洒脱な描き方もしていない。
密でもなく、粗でもない。
一見、焦点のあて所に迷う画面だからです。
特に今回は、そう見えるかも知れません。
みわさんは、そう見えることを承知で、描いています。
既にある表現スタイルを嫌って、絵画という形式の中で、内部破壊を試みています。
これは結構困難な作業です。
絵画という形式を破壊するのは、ある意味簡単です。
しかし、それを守りながら内部を破壊するのは、難しい。
内部破壊とは何か。
それはお約束事に類することの、反故です。
例えば、立体的な世界を平面に写す時の技法や遠近の表し方。
これを中途で反故にしています。
それと反する要素を入れて、宙ぶらりんにして、平衡を取っている。
何故そんなことをしているかといえば、絵画の可能性に賭けているからです。
破壊(衝突)と創造を繰り返しながら、まだ見ぬ(あるいは絵画が原初から秘めている)可能性に賭けているからです。
それを承知して見れば、さほど難解ではありません。
色と形と線の冒険に、遭遇するはずです。
ご高覧よろしくお願い致します。
みわさんは、多芸な人です。
1980年代からのパフォーマーであり、立体も制作しています。
美術とは直接の関係はありませんが、剣道の達人であり、ヴァイオリンの自作もなされていると聞いています。
今回の展示に合わせて二度のパフォーマンスも行われます。
展覧会初日のパフォーマンスのワンシーンをEXTRA PAGEでご紹介いたします。
EXTRA PAGE
パフォーマンス
6月23日 7:30〜
7月5日 15:30〜
2001年藍画廊個展
2002年藍画廊個展
2003年藍画廊個展
2004年藍画廊個展
2005年藍画廊個展
2006年藍画廊個展
2007年藍画廊個展
「美」と「術」2001年展
会期
2008年6月23日(月)-7月5日(土)
日曜休廊
11:30am-7:00pm(最終日6:00pm)
会場案内