藍 画 廊

馬場まり子展
BABA Mariko



馬場まり子展
の展示風景です。



各壁面の展示をご覧下さい。



画廊入口から見て、左側の壁面です。



正面の壁面です。



右側の壁面です。



入口横の壁面です。

以上の6点で馬場まり子展は構成されています。
使用画材はすべてボードに洋紙(キャンソン・ミ・タント)、アクリル樹脂絵具です。
サイズもすべて227×145 cmです。
作品の詳細をご覧下さい。



左壁面、左端の作品です。
タイトル「笑う老人 」です。



左壁面、右端の作品です。
「紫のマフラーをした老人」です。



正面壁面の作品です。
「長崎の人 」です。




右壁面、右端の作品です。
「エプロンをした 女(ひと)」です。



右壁面、右端の作品です。
「月と老人」です。



入口横壁面の作品です。
「水仙と人」です。

〈作家コメント〉
 
長い伝統をもつ東洋絵画特有な余白をとり入れて、かつ新しい絵画空間を生み出したいと思い、
これまで主に「人間」を中心に描いてきました。今回は「坐る人」数点です。


馬場まり子さんの「人間」(ポートレイト)を描くシリーズの最新作です。
すべて「坐る人」ですが、坐るシチュエーションが異なり、談話する人、待つ人、休む人、眺める人、リラックスする人など変化に富んでいます。
展示には、人間の坐るというポーズに絞った面白さが出ています。
今回は一つの画面に一人の人間がほぼ同じ大きさで描かれています。
いつも以上にシンプルな画面構成ですが、いつも以上に色彩が印象的で、人物が魅力的です。
大きな画面は通常と同じですが、それがより効果を増して「人間」の実相が描かれています。
その描写力、見事です。

展示された「坐る人」の一点一点が味わい深く、余白の使い方が絶妙です。
余白とは何もない白い空間ではありません。
余白は時空を繋げて絵画の空間を広げ、多層な画面を作ります。
「坐る人」の背景を自由に想像したり、地(背景)と図(主体)を繋げたり、地と図が溶け合ったりと、見る楽しさに満ちています。
余白は空間(此処と其処)や時間(過去、現在、未来)、そして此岸と彼岸を自由に行き来しています。
言わば余白は時空の通路のような役割を果たしていると思います。
見る人の想像力に働きかけ、画面をただ眺めるのではなく、積極的に絵を「見る」ことを可能にする。
それが伝統的な東洋画の余白であり、それを現代に活かしたのが馬場さんの絵画空間です。
ここには絵画でしかできない表現があり、それに参加して(鑑賞して)自分だけの絵画を見る自由があります。
(余白は喩えてみれば小説の行間に近いかもしれません。読者は行間を自由に想像して自分だけの物語を作ります。)

馬場さんの市井の人を見る観察力は鋭く、しかも優しい眼差しです。
表情を、ポーズを切り取って、画面に定着する。
その画力もまた的確であり、無駄がありません。
「月と老人」の青の美しさと染みるような余韻、「長崎の人 」の幽玄な有様と大胆な構図、花と人の多彩な色が混じり合う「水仙と人」。
寛(くつろ)いだ表情と体勢が楽しい、オジさんとオバさんたち。
紫のマフラーも素敵ですね。
伝統を踏まえながら「今」を体現させる絵画。
馬場さんの絵画には、今時の余白のないテレビやスマートフォンの退屈な画面とは異次元の世界像があります。
人間の宿命である「老い」や「死」も真正面から描き、絵画の可能性を拡げています。
そして描かれたのは紛れもない現代の人であり、しかも古から変わっていない「人間」の姿です。

ご高覧よろしくお願い致します。

作品配置図

2011年藍画廊個展
2012年藍画廊個展
2013年藍画廊個展
2014年藍画廊個展
2015年藍画廊個展
2016年藍画廊個展
2017年藍画廊個展
2018年藍画廊個展
2019年藍画廊個展
2021年藍画廊個展

会期

2021年10月4
日(月)ー10月16日(土)
10月10日 (日)休廊
11:30ー19:00(最終日18:00)

会場案内