藍 画 廊



馬場まり子展
BABA Mariko


馬場まり子展の展示風景です。



画廊入口から見て、左側の壁面です。
左から、タイトル「海のシリーズ I」でサイズは180(W)×145(H)cm、「海のシリーズ II」で180×145です。



正面の壁面です。
タイトル「北鎌倉駅」で145×227です。



右側の壁面です。
左から「海からみた風景 III」で180×145、「海からみた風景 IV」で180×145です。



入口横の壁面です。
タイトル「海からみた風景 V」で180×145です。

以上の6点が展示室の展示で、その他小展示室に小品1点の展示があります。
作品はすべてパネル、キャンソン・ ミ・タント紙、アクリル絵具、アクリルガッシュを使用しています。



左壁面の「海のシリーズ I」です。
タイトル通り、海を描いた風景画です。
場所は新潟の寺泊の海岸です。

不思議な、絵です。
西洋画の体裁なのに、それに縛られず、自由に描いています。
雲の形や色も既成概念とは無関係に、描きたいように描かれています。



同じく左壁面の「海のシリーズ II」です。
これも寺泊ですが、日本海特有の海の景色です。
手前左にあるのは海岸の見張り台で、風景の遠近の基点のような役割を果たしています。



正面壁面の「北鎌倉駅」です。
駅のホームを歩く親子、あるいは祖父と孫を描いたスナップショットのような作品。
ここで注目したいのは、余白です。
画面の多くを占める余白と、大人の背負ったリュックと頭部を囲む余白。



右壁面の「海からみた風景 III」です。
これは海を背にして山側を描いた風景画シリーズです。
右上、オレンジの雲の上に月が出ています。
では中心の大きな白い円は何でしょうか。
馬場さんにお伺いすると、「あの世」(彼岸)だそうです。



同じく右壁面の「海からみた風景 IV」です。
長く延びた人の影。
その影の映った道路の灰色が画面全体をグルリと囲んでいます。
奥行きがあるような、ないような、不思議な絵。



入口横壁面の「海からみた風景 V」です。
夕陽に照らされたような人物が中央に描かれています。
この作品も余白が目立つ作品で、通常の遠近とは異なった空間が存在しています。



馬場さんの絵画、自由です。
ここにあるのは絵画の常識に囚われない、自由な発想と描画です。
キーワードは「余白」と「奥行き」。
西洋的な描画の中に、東洋画の「余白」と「奥行き」を持ち込んでいます。

その取り入れ方は、自由奔放で、理屈や理論の野暮ったさが微塵もありません。
絵が、生き生きとしている。
「余白」は絵のマジカルな要素を拡大して、世界を広げています。
「奥行き」は西洋的な遠近法とは異なる手法で、彼岸まで達している。

何でもない風景が、これほど不思議に見える絵画も珍しいと思います。
風景画とは、言うまでもなく、風景を主題とする絵画です。
写し取る風景は、主観と客観のせめぎ合いから生まれてきます。
馬場さんのそれは独特です。
山水画から続く東洋の風景観と西洋的な描画法が、矛盾なく同居していて、風景がそこにある。
そしてその風景は、なぜか楽しめる絵画になっている。

それにしても、不思議な絵画です。
いや、不思議な風景画です。
この風景画に魅せられると、その多層な構造に気が付きます。
単純に見えて、実はしっかりとした裏付けのある風景画なのです。
それでいて、あくまでも自由なのが、馬場さんの絵画の技です。

ご高覧よろしくお願い致します。


会期

2011年10月3日(月)ー10月15日(土)

10月9日(日)休廊

11:30amー7:00pm(最終日6:00pm)



会場案内