
やわらかい部屋 - 瀬古徹展 -
The Soft Room
SEKO Toru
瀬古徹展の展示風景です。





上から、画廊入口から見た展示室A、展示室A左壁面、右壁面、展示室B左壁面、右壁面の展示です。
以上の9点で瀬古徹展は構成されています。
(その他、展示室Bコーナーに1点の展示があります。)
作品の詳細をご覧下さい。
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展示室A、左壁面の作品です。
タイトルはすべて「a drawing」です。
左からマテリアル「tempera on paper」でサイズ27.1×19.2㎝、「charcoal on paper」で27.1×19.6㎝、「charcoal on paper」で27.0×19.1㎝、「tempera on paper」で26.8×18.8㎝です。
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右壁面の作品です。
左からタイトル「boards no.308」(tempera on board)で10.6×7.8×4.9㎝です。
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展示室B、左壁面、窓側壁面の作品です。
左から「boards no.309」(tempera on board)で14.3×10.3×1.7㎝、「boards no.312」(tempera on board)で10.8×2.8×3.0㎝です。
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右壁面、コーナーの作品です。
左から「boards no.305」(tempera on board)で17.1×6.4×5.6㎝、「boards no.310」(tempera on board)で30.0×22.5×6.4㎝です。
<作家コメント>
その剥がれた塗膜は僕のこころをざわつかせ、
その積もった埃は僕の筋肉にやる気を与える。歩幅と声の響きで測った寸法の要因は、僕に諦めという“落ち着き”をもたらしてくれた。
でも、気をつけよう。
こんなに短い距離でだって、わからないことは、待っているから。
日が暮れるのを待って、
窓を少しだけ開けて、
漏れ、染み込んで来た灯りで紙とインクの段差を確認しながら、詩を読むんだ。
だけど、もう一文字ずつ摘む必要などない。
使えない英語のような舌の弾きで、踊ったつもりになって、
垂直のグルーブに照れながら、僕のからだを通った歌が生まれるのに、それほど時間は必要
ない。
そして、“配置” だけを残して、僕はこの部屋にいないことが良いのかも知れないね。
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私は小さな絵を描いています。
それらは壁に「示される」と、
周辺と相互に関わり始めます。
私の作品はそれだけです。
Nov.17,2025
瀬古徹
The Soft room
−SEKO Toru Exhibition−
That peeling paint unsettles my heart,
That accumulated dust fuels my muscles.
The dimensions measured by stride and echo brought me the “calm” of resignation.
But be careful.
Even over such a short distance, the unknown waits.
I wait for dusk,
open the window just a crack,
and read poetry, tracing the paper's ridges against the seeping light.
But there's no need to pluck each character anymore.
With a tongue that flutters like useless English, pretending to dance,
a song born through my body, shy against vertical grooves, needs little time.
And perhaps it's best that I'm not in this room, leaving only the “arrangement.”
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I paint small pictures.
When they are “shown” on the wall,
they begin to interact with their surroundings.
That is all my work is.
Nov.17,2025
Toru Seko
Translated with DeepL.com (free version)
「やわらかい部屋」。
やわらかいは柔らかい、なめらかな、穏やかな、落ち着いた、心地よい、などの意味がありますが、どれもが瀬古さんの作品に当てはまります。
そういう部屋に設えたのが本展の「やわらかい部屋」ではないでしょうか。そこで、そのキー(基調)になるものは何かと考えてみました。
それは絵画です。
絵画はもともとから徴(しるし)でした。
洞窟壁画から宗教絵画から近代絵画から、すべて徴としての意味を持っていました。
では誰に向けた徴かと言えば、超自然であり、神であり、王族、貴族であり、市民でした。
ところが市民が死語になるにつれて、絵画の地位が揺るぎ、一時は絵画は死んだとまで囁かれました。
市民が死語になったのは、市民という概念が西欧という特殊な地域のものでしかなかったからです。
とてもローカルな階層なのに、普遍を意味していたからです。
その破綻が昨今のワールドワイドな混乱のベースにあります。しかし、絵画は市民社会で初めて一般に開放されたわけでもなく、日本や東洋ではずっと昔から描かれ、飾られてきた歴史があります。
だから絵画はローカルな普遍とは関係ないのです。
その平面でありながら厚みのある、二次元と三次元が混淆したメディアは今も生き続けています。
瀬古さんの「やわらかい部屋」に生き続けています。瀬古さんは絵画を徴(しるし)として描いているように思えます。
絵画という形式を一旦解体して、徴として部屋のあちこちに設えています。
そうすることによって、部屋がやわらかくなってとても居心地のよいものに変貌します。
ギャラリーの実験室のような無機質な佇まいが、人心地のある何かに変わるのです。
では何に、誰に向けて徴を付けているかと想像すれば、自分自身であり、部屋に入った人すべてにです。
それは決して市民(自我)ではないと、わたしは感じました。
ご高覧よろしくお願い致します。
作品リスト
2003年藍画廊個展
2009年藍画廊個展
2010年藍画廊個展
2011年藍画廊個展
2012年藍画廊個展
2013年iGallery DC個展
2014年藍画廊個展
2015年藍画廊個展
2016年藍画廊個展
2017年藍画廊個展
2018年藍画廊個展
2019年藍画廊個展
2020年藍画廊個展
2021年藍画廊個展
2022年藍画廊個展
2023年藍画廊個展
会期
2025年11月17日(月)ー11月22日(土)
11:30ー19:00(最終日17:00まで)
会場案内