藍 画 廊

瀬古徹展
- その庭を通りぬけて -
SEKO Toru


瀬古徹展の展示風景です。



各壁面の展示をご覧下さい。



画廊入口から見て、左側の壁面です。



正面の壁面です。



右側の壁面です。



入口横の壁面です。

以上の6点が展示室の展示で、その他小展示室に1点の展示があります。
作品の詳細をご覧下さい。

 


左壁面の作品です。
タイトル<a board no.258>(Wood and tempera)で、サイズは6.7×5.0×4.2cmです。

 


正面壁面の作品です。
<a board no.262>(Wood and tempera)で、10.4×5.4×4.2cmです。

 


右側壁面、左側の作品です。
<a board no.257>(Wood and tempera)で、7.5×5.5×1.5cmです。

 


右壁面、右側の作品です。
<a board no.266>(Wood and tempera)で、27.5×22.0×2.3cmです。

 


入口横壁面、左側の作品です。
<a board no.263>(Wood and tempera)で、7.5×5.4×3.8cmです

 


入口横壁面、右側の作品です。
<a board no.261>(Wood and tempera)で、8.5×7.2×3.7cmです。

〈作家コメント〉

その庭を通りぬけて

空白を感受するためのきっかけ。

それが私の小さな作品です。“板切れ“(=a board)のような支持体に描画し、それを壁面にものとしても示します。
絵画と彫刻の中間に位置する作品と言えるかも知れません。
展示の際は作品サイズの割には広い余白を取り、余韻を楽しんでもらいたいと思っています。
つまりインスタレーションの要素も持ち合わせているとも言えるでしょう。

汚れや傷など時間の経過や蓄積を感じさせるものに惹かれ、モチーフとしています。
それらを現すための支持体と描画されたものとは「地」と「図」の関係をつくり、作品そのものも壁面や部屋と「地」と「図」の関係を生み出します。
作品内のみならず、作品展示の場とも有機的に関連していくように心掛けています。

私は、私自身がテーマとして、モチーフとして「板(=a board)」を選んだこと以外は、もともと作品が生み出される過程にある「構造」に参加させてもらっているような感覚でいます。
そして正にその「構造」に身を委ねながら創作していくことこそが私のコンセプトなのだと思います。

言い換えると、美術そのものからしか創作は始まらないと言うことです。
私は美術の外(愛とか平和とか癒しとか···)には出発点が見いだせないのです。

なので、私には、芸術(家)において解りやすい一方向へ強く押し出す主張や、伝えたいメッセージなどはありません。
勿論、際立つ個性も持ち合わせてはいません。
私の作品は、何を表したいかという私の意志から始まってはいないのです。
が故に、遠くから見た時に何をしているのか解り辛いことが難点ではあります。

だからここへ来て体感して欲しい。
コーヒーの香りのごとく、家と家の隙間を通りぬける風のごとく、小さなきっかけから始まるカジュアルでゆっくりとした時間を。
それが私の作品なのです。


Through that garden


An opportunity to perceive the void.

That is my small works. I draw on a support like a "piece of board" (=a board) and show it on the wall as an object. You could say that my work is somewhere between painting and sculpture.
I would like the viewer to enjoy the lingering impression of the work by leaving a wide margin for the size of the work. In other words, it can be said to have elements of an installation.

I am attracted to things that remind me of the passage and accumulation of time, such as dirt and scratches, and use them as motifs. The support for the work and the objects on which they are drawn form a relationship of "ground" and "figure," and the work itself creates a relationship of "ground" and "figure" with the wall and the room. I try to create an organic relationship not only within the work itself, but also with the place where the work is exhibited.
 
Except for the fact that I have chosen "a board" as my theme and motif, I feel as if I have been allowed to participate in the "structure" of the process of creating the work. And I believe that my concept is to create while surrendering myself to that "structure.
 
In other words, I can only start creating from art itself. I cannot find my starting point outside of art (love, peace, healing, etc.).
 
Therefore, I don't have a strong, easily understandable, one-directional statement or message that I want to convey in my art (home). Of course, I do not have a distinctive personality.
My work does not start from my will as to what I want to express. Therefore, it is difficult to understand what I am doing when seen from a distance.

That is why I want you to come here and experience it for yourself. Like the aroma of coffee, like the wind that blows through the space between houses, it is a casual and slow time that begins with a small chance. That is my work.

Dec.19,2022 SEKO Toru


絵画には構造があります。
支持体(画布、木枠)がまずあって、そこに絵具で何かが描かれます。
その構造を異なる角度から見ると、絵具で描かれた立体物(物質)になります。
そしてそれと展示された空間(壁面や部屋)との関係は、絵画の「地」と「図」の構造と同じになります。
つまり絵画は平面でありながら立体であり、インスタレーションでもあることになります。
それはさほど不思議なことではなく、原初の絵画が持っていた要素そのものだからです。
絵画は壁などに直接描くものであって、場所に規定されていました。
絵画がキャンバスという形で移動可能になったのは、その後です。
空間と切り離され、額によって壁面とも切断された絵画はおおよそ近代以降のスタイルです。

藍画廊のホワイトキューブに点のような絵画/彫刻がポツンポツンと展示された空間。
いわばミニマルでもあるような造作ですが、大きく異なるのは点=板切れの表情です。
程良い古さと形状の小さな欠けや曲がり、そして筆致と汚れが和解したような絵具の跡。
その茶色の板切れが際立たせるのは、質素でありながら確かな絵画としての存在と圧倒的に心地良い余白の空間です。
それは作家の感性と(少しばかりの)計算が作り上げた、至ってナチュラルな空間です。
強いメッセージもなければ、感情の揺さぶりもないけど、至極居心地の良い普段(ふだん)です。

絵画の構造を内に含んだ絵画と言えば、それは自己言及になります。
自己言及は得てして難解を生みますが、瀬古さんのそれは大らかで複雑な様相がありません。
多分その因は、手が思考して絵画/彫刻を作り上げ、身体が感応して空間を作り上げているからだと思います。
計算はあくまで少しばかりであり、頭は必要な時に必要なだけしか使っていないからです。
考えてみれば原初の絵画もそうであったはずですから、これはリバース(再生)なのかもしれません。
ともあれ、鑑賞ではなくそこに佇んで時の流れを感じることをお勧めします。

ご高覧よろしくお願い致します。

プライスリスト

2003年藍画廊個展
2009年藍画廊個展
2010年藍画廊個展
2011年藍画廊個展
2012年藍画廊個展
2013
iGallery DC個展

2014年藍画廊個展
2015年藍画廊個展
2016年藍画廊個展
2017年藍画廊個展
2018年藍画廊個展
2019年藍画廊個展
2020年藍画廊個展
2021年藍画廊個展

会期

2022年12月19
日(月)ー12月24日(土)
11:30ー19:00(最終日18:00)

会場案内