藍 画 廊



瀬古徹展
-Shapes with Shades-
SEKO Toru


瀬古徹展の展示風景です。



各壁面の展示をご覧下さい。



画廊入口から見て、左側の壁面です。
左から、タイトル「a board no.26 」で、サイズ33.9(H)×9.9(W)×0.3(D)cm、「a board no.28」で41.6×12.0×0.5、「a board no.34」で21.6×17.9×0.3です。



正面の壁面です。
左から「a board no.21」で34.9×6.8×0.5、「a board no.24」で23.2×16.3×0.3です。



右側の壁面です。
左から「a board no.33」で30.1×12.6×0.6、「a board no.29」で26.4×22.6×0.4、「a board no.30」で20.2×18.2×0.4です。



入口横の壁面です。
左から「a board no.25」で21.0×11.5×0.3、「a board no.36」で28.3×3.2×0.5です。

以上の10点が展示室の展示で、その他小展示室に3点、事務室壁面に1点の展示があります。
展示室と事務室壁面の作品は油彩/板に張ったカンヴァスで、小展示室の作品は木炭・パステル・(顔料)/紙を使用しています。



左壁面の「a board no.26 」と「a board no.28」です。
前回から続く「a board」シリーズです。
「a board」シリーズは、不定形の板に麻布のカンヴァスを貼り、油彩で描く作品です。
右の画像でお分かりのとおり、板は背後に付けられた木製の支持体で、壁から浮き上がったような構造になっています。
カンヴァスは支持体の側面まで貼られていて、絵画の一部を形成しています。
今回は、板の支持体の高さが若干高くなっているようです。
(その分、壁に陰が多く出ています。)



左壁面の「a board no.34」と正面壁面の「a board no.24」です。
作品の構造上、正面からの撮影、斜めから撮影を混じえて掲載していま。
風化で自然に出来上がったように見える、美しい形と色です。



右壁面の「a board no.33」と「a board no.30」です。
渋い色調ですが、暖かみのある色合いと形状です。
壁面にボンヤリと映る影も、作品を際立たせています。



入口横壁面の「a board no.25」と「a board no.36」です。
寒色系の色調ですが、作者の手の温もりが感じられます。
右の作品はほとんど立体ですが、絵画であることを止めていません。

小展示室の壁面に、瀬古さん記した本展へのコメントが貼付されています。
全文を掲載いたします。

Shapes with Shades
ー制作にあたってー

私は、私の作品が、それを観る人の“想い”を投影する「道具」であって欲しいと思っている。


わたしが気にしているのは、

形態、または、かたち。
それとなく自己主張しながら、
はっきりと輪郭をもたない。

色彩、または、かげり。
位置が定まりづらい風景の中の固有色のように、
時間とともに定着する表面。


まずは、その「かげり」のあるその「かたち」を、不均質な部屋の光と、共存させることさえできれば、と思っている。





Shapseとは形、形状のことで、Shadesとは陰や色合いなどの意があります。
瀬古さんの作り出す作品は、とてもナチュラルな形と色彩を持っています。
物質と光、時間が適度に調和したような、ナチュラル(自然)さです。
風化と褪せが、形の角を和らげ、色彩を豊かなものにしています。
わたしの“想い”は、前回同様、瀬古さん作品を通じて、気持ちの良い景観の中に在ります。

一方で、瀬古さんの作品が優れた絵画であることを忘れることはできません。
絵画は一般的には矩形のカンヴァスに描かれます。
そういった形式からは遠く離れた作品ですが、内実は紛れもない絵画です。
逆説的にいえば、絵画にこだわったからこそ、このような形態の作品になったとも表現できます。

いうまでもなく、絵画は最初から矩形のカンヴァスに描かれたわけではありません。
描かれた壁などと不可分のものとして存在していました。
持ち運びが可能(モバイル)なカンヴァスという形式になったのは、歴史的には後世のことです。
そのような意味では、瀬古さんの絵画は異端でも、変格でもありません。
あえていえば、本格の絵画です。

展示された作品の形状、形態を支えているのは、本格の絵画です。
本格で、正統な絵画の技法、心得です。
そうでなければ、わたしの“想い”はこれほどまでに深くはないでしょう。
絵画としての力量と、そこに表出された作家の意志と思索。
それが、わたしの“想い”を遠いところまで連れて行ってくれるのです。

古(いにしえ)の絵画が場所と不可分であったように、瀬古さんの小品は画廊の空間と共存しています。
不均質な光の中で、端正な佇まいの作品は、穏やかな表情を顕わにしています。
あたかもそれが以前から存在していたような、親しげな形態と色彩(と陰り)を持って。

ご高覧よろしくお願い致します。


2003年藍画廊個展

2009年藍画廊個展


会期

2010年11月15日(月)-11月20日(土)

11:30am-7:00pm(最終日6:00pm)


会場案内