藍 画 廊




瀬古徹展

-pocketableau-
  SEKO Toru

瀬古徹展の展示風景です。



各壁面ごとの展示をご覧下さい。



画廊入口から見て、左側の壁面です。
タイトル「a board no. 58」で、サイズ10.6(H)×9.9(W)× 1.0(D)cmです。



正面の壁面です。
「a board no. 57」で24.4×4.8× 1.5です。




右側の壁面です。
左から、「 a board no. 59」で11.9×7.9× 1.5、「a board no. 63」で11.8×8.0× 2.0、「a board no. 64」で9.7×7.0×1.4、「a board no. 56」で10.0×9.8×0.5です。



入口横の壁面です。
「a board no. 68」で16.8×5.3×1.8です。

以上の7点が展示室の展示で、その他小展示室にドローイングが1点、事務室壁面に1点の展示があります。
作品はドローイングが紙にペン、その他はすべてボードにキャンバスに油彩です。



左壁面の「a board no. 58」です。
ほぼ正方形の小さな絵画ですが、少し厚みがあります。
これは瀬古さんが従来から続けてきた方法で、不定形のボードに麻布のカンヴァスを貼り、油彩で描く作品です。
ボードは背後に付けられた厚い木製の支持体で、壁から浮き上がったような構造になっています。



斜め横から見た作品です。
ただし前回に比べると支持体の厚みが薄くなっていて、壁からの距離が縮まっています。
そしてなにより、画面に大きな変化が見られます。



正面壁面の「a board no. 57」です。
左が正面から見たところ、右は斜め横から見たカットです。
この作品は壁から浮いておらず、密着しています。
これも今回の変化ですが、キャンバスの横まで絵が描かれているのは以前と同様です。



右壁面の3点、「 a board no. 59」、「 a board no. 63」、「 a board no. 64」です。
どの作品も色彩が鮮やかですね。
この3点も壁面と密着しています。



「 a board no. 59」を斜め横から撮ったカットですが、画面が横に回っているのが分かります。



右壁面の「a board no. 56」です。
これは従来の浮かせた画面ですが、ほんの少ししか浮いていません。
グリッドの画面の美しさが際立つ作品。



入口横壁面の「a board no. 68」です。
これは密着した作品で、形状は一般的絵画に近いのですが、その小ささと佇まいが凡庸と一線を画しています。

〈Pocketableau〉

私の作品は小さい。  
近代絵画が視野の拡がりを求めて行ったこととは逆のベクトルで、人の視野の範囲を強引に絞り込ませようとする。  
そこに何か思想や戦略などあるはずもなく、私が「表現」を行うことが可能なフィールドが、シャツの胸ポケットほどのサイズで精一杯なのだ。  
しかもこの作品は、白いニュートラルな壁の拡がりに依存することにより活かされるという、皮肉な現状も有している。  
そして私は、その小さく絞られた(或いは、切り取られた)視野の範囲に在る作品には記号としての「絵画」ではなく、“生の営み”が刻みつけられるべきだと思っている。
私はこの小さな作品の表面を揺らすことにより、絵画が「絵画」という記号にならないようにもがき続けている。
 
2012.11.12 瀬古 徹



画廊の壁面に貼付された瀬古さんのコメントです。
今回の展示のキーワードは、瀬古さんも触れられている通り、「絵画」だと思います。
瀬古さんの作品は、形状的には絵画と立体の間を揺れ動いていましたが、本質はやはり絵画だったと思います。

しかし何ともややこしい方法で絵を描いているのでしょう。
キャンバスに油絵具なりアクリル絵具で絵を描けば、とりあえずは絵画になります。
しかし、この形式の罠にはまると形骸化したモノしか生まれません。
絵画には豊かさがある。
多分、瀬古さんにはその確信があって、罠にはまらないよう、細心の注意を払って絵画に取り組んでいると思います。

パターン(模様)を用いた絵画。
豊かです。
その小さな画面から、画廊全体を包み込むような豊かさが生まれています。
そこには作品と壁の関係を作品に取り込んだ知恵があります。
決して安易なインスタレーションでは生まれ得ない空間です。

以前の中間色も独特の雰囲気があって良かったのですが、今回のビビッドな色彩。
これも良いですね。
パターンを巧く使って、色彩を輝かせています。

豊かであること。
豊かな絵画であること。
文字で書けば簡単ですが、実践は困難を極めます。
この変形ともいえる絵画の展覧会が、絵画の本質を突いているのは、その証左ではないでしょうか。

ご高覧よろしくお願い致します。


2003年藍画廊個展
2009年藍画廊個展
2010年藍画廊個展
2011年藍画廊個展

 

 

会期

2012年11月12日(月)ー11月17日(土)

11:30amー7:00pm(最終日6:00pm)



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