伊藤知宏展
ラストダンスを私に
ITO Chihiro
伊藤知宏展の展示風景です。
各壁面の展示をご覧下さい。
画廊入口から見て、左側の壁面です。
正面の壁面です。
右側の壁面です。
入口横の壁面です。
本展は藍画廊の移転に伴い、旧画廊最後の展示として伊藤知宏さんが壁面に直接ドローイングを施したインスタレーション作品です。
移転に伴うこの展示方法は以前(2008年の京橋から銀座への移転時)にも同様の試みがありました。
その時東京在住だった伊藤さんは今はニューヨークで作家生活を送っていて、今回はそんな環境の変化も作品に込められています。
制作は2023年12月25日に始まって年末で終了しました。
しかし2024年の年始から画廊への一般の立ち入りは建て替え工事の為に不可能になっています。
残念にも作家と画廊関係者以外は見ることのできない展示となりましたが、本ページと伊藤さん自身のWebサイトでの閲覧いただければと思います。
作品の詳細をご覧下さい。
〈作家コメント〉
“ラストダンスを私に”NYの冬のアパート
東京のつばき。
太陽は生々しい、
冬枯れに鳥。
地球の陽と影はにたけしきだ。
彼女は最後にさけんだ。
「ラストダンスを私に、もう一度!」
2023年12月31日
伊藤知宏
英語版
“Save the Last Dance for Me”NYC winter apartment,
Tokyo camellias.
Sun is so much flesh,
birds on a winter dwindling.
Earth has smiler view in the shadow face, Light face.
In the end, she screamed.
“Save the last dance for me, Again!”
Dec 31, 2023
Chihiro Ito
これは壁画の下書きを描く→詩を書く→壁画の下書きを治す→詩を修正→壁画を描く→詩を修正して壁面に描く、といったプロセスで作品が作られたため、作品が関わっています。
各壁面には季語があり、正面から時計回りに
東京の椿、冬枯れの木と鳥、葉のない影の落ちるブルックリンの僕のアパート、冬の乾燥した空。
すべて冬の季語です。
今回の展示のタイトルは「ラストダンスを私に」です。
前回2008年は「ラストダンスは私に」でした。
「は」が「を」に変わったわけですが、その意味を探って前回の展示案内ページを見直してみました。
特に意味は見つけられませんでしたが、今回の制作への意気込みがその言葉の違いと想像しました。
驚いたのはこのタイトルを考えたのは伊藤知宏くんではなく、このわたし(藍画廊福田)だったことです。
15年も前のことですから致し方ないとはいえ、まったく忘れていました。さてご存じの通り「ラストダンスは私に」は世界的なヒット曲です。
オリジナルはアメリカのコーラスグループ/ドリフターズで、日本では越路吹雪の歌唱で知られています。
このドリフターズの曲を聴きながらポール・マッカートニーが「ヘイ・ジュード」を作曲したというエピソードがあります。
それを知った大瀧詠一がキングトーンズを起用して「ラストダンスはヘイジュード」をプロデュース、リリースしています。
(以上Wikipediaより)
どんな曲かと聴きたくなって検索をかけたらありましたありました、YouTubeに。
確かに、ポールはドリフターズ版を下敷きに「ヘイ・ジュード」を作曲してますね。
百聞は一聴にしかずで、興味のある方は是非検索して下さい、驚きますよ。
しかし思いもよらぬ楽曲の繋がりに影響(インスパイア)の面白さを再認識しました。
それを一つの作品に纏めた大瀧詠一も流石ですね。さてさて、本題の伊藤くんの「ラストダンスを私に」。
壁面の各面が一つ一つの俳句のような感じで、なかなか渋いです。
余白の活かし方が前回より洗練されていて、冬枯れの木と鳥の合体や、冬の乾燥した空が良い味を出しています。
一転して矩形の建物と窓が並ぶブルックリンのアパート風景。
伊藤くんの日本的な線描とモノクロームの魅力が存分に味わえるドローイングと空間構成です。
ラストは入口ドアに自作の詩、この白黒反転も美しい!
今回は余計な「ラスダンスは私に」に纏わる逸話を書いてしまいましたが、伊藤くんならきっと許してくれると思います。
伊藤くんもいろいろな美術家や音楽家にインスパイアされていて、その中には想像外のものもあると思います。
もしかしたらそれが作品「ラストダンスを私に」のどこかに表れているかもしれませんね。
有り難う、伊藤知宏くん!
2005年藍画廊個展
2006年藍画廊個展
2007年藍画廊個展
2008年藍画廊個展
2008年藍画廊「ラストダンスは私に」
iGallery's eye vol.6伊藤知宏展 "Rakugaki"
2010年藍画廊個展
iGallery DC 伊藤知宏展
2015年iGallery DC個展
2020年iGallery DC個展