伊藤知宏展の展示風景です。
画廊入口から見て、正面と右側の壁面方向です。
画廊内の全ての壁面に唐草模様の壁紙が貼られ、壁紙には風景らしきものが描かれています。
ご覧通り、壁紙は壁面の下(床)から上(天井)まで隙間なく貼られています。
画廊に入ると、周り全体を絵に囲まれた感じになります。
次は、左側の壁面方向です。
伊藤さんの記したテキストが画廊に掲示されていますので、全文掲載いたします。
【この作品について】
《あやめ、タンポポ、雲、マンション、列車に電気を渡す鉄塔、電柱、雲のイメージなどが描かれた絵》
現在、室内の壁面全体には、唐草の模様のついた壁紙が張られています。
唐草の模様のついた壁紙に描かれているのは、作家が4月から5月にかけて石神井公園周辺で撮影した植物(あやめ、タンポポ)、雲、建築物(マンション、列車に電気を渡す鉄柱)、電柱、雲のイメージが描かれています。
私は身近にあるものを描くことによって人を感動させたいと思いこのような展示にしました。
また、この写真は作家が仕事へ行く途中に撮影したものです。
日常のいつも見るものを使用して、石神井公園周辺の4月と5月を絵画的に表現しようと思いこのようなモチーフにしました。
2005年5月16日
伊藤 知宏
展示作品のタイトルは、文中にあるように「あやめ、タンポポ、雲、マンション、列車に電気を渡す鉄塔、電柱、雲のイメージ、他が壁に描かれ絵」です。
使用画材は、壁紙・ボーダー・ペンキ他です。
絵の基になっているのは伊藤さんが仕事の行く途中に撮影した風景です。
身近な、日常の風景です。
その風景を再構成して、壁画として展示したのが今回の作品です。
再構成には音楽的手法が使われているそうです。
(プレーンな素材ー例えばギターの音ーと、それを歪ませたり、加工したものをミックスしてダビングする方法。)
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作品の部分です。
雲、マンション、植物がモノクロームで描かれています。
マンションや植物とは別の位置にあって、大きさも比例していない、雲が描かれて(ダビングされて)います。
昔風の言い方であれば、風景の解体と再構築になりますが、それとは幾分違う気がします。
何よりも、伊藤さんは「人を感動させたい」と記しています。
風景の解釈ではなくて、(伊藤さんの好きな)風景の取り込みではないでしょうか。
風景のサンプリング、が意味合いとして近いと思います。
サンプリングした風景を、自由に加工して、新たな風景として描く=再構成する。
見慣れた風景による、新しい風景。
音楽的手法と絵画的手法の幸福な出会いがここにあります。
クローズアップされた植物と漂う雲。 作品の支持体が壁紙なのは、伊藤さんが壁に描くことにこだわった為です。 矩形のキャンバスではなく、壁に描く。 壁はキャンバスと違って、移動することができません。 風景が固有に存在しているように、壁も固有に存在しています。 伊藤さんは、藍画廊の壁に石神井公園周辺の風景を描きたかった、と想像します。 |
ご高覧よろしくお願いいたします。
作家Webサイト
《同時開催》 西瓜糖 Coffee+Wine+Contemporary art
2005年5月18日(水)-5月30日(月)
11:00-23:00
火曜定休
東京都杉並区阿佐谷1-28-8 芙蓉コーポ1F
03-3336-4389