藍 画 廊


加藤学×河田政樹 Vol.2
KATO Gaku×KAWADA Masaki


加藤学×河田政樹 Vol.2の展示風景です。



各壁面の展示をご覧下さい。



画廊入口から見て、左側の壁面です。



正面の壁面です。



右側の壁面です。



入口横の壁面です。

以上の14点が展示室の展示で、その他小展示室に3点、事務室壁面に1点の展示があります。
左壁面、正面壁面が河田政樹さんの展示で、右壁面、入口横壁面は加藤学さんの展示です。
作品の詳細をご覧下さい。
河田政樹さんの作品です。



左壁面、 5点共、紙に顔料でサイズ265×195mmです。



左端の作品のアップです。



正面、DJシステムです。



正面壁面、左端、中央、右端の作品です。
3点共ゼラチン・シルバー・プリントで、サイズは左から530×353mm、177×118mm、275×183mmです。

加藤学さんの作品です。



右壁面、左端のドローイング集と1点のアップです。
タイトル「池底の裏」(紙・水彩鉛筆・カードケース)です。



右壁面、左から2番目の作品です。
「景について(囀りの息抜き)」(キャンバス・アクリル絵具)で606×500mmです。



右壁面、左から2番目の作品です。
「島山石(囀りと池)」(キャンバス・アクリル絵具)で970×1303mmです。



右壁面、右端の作品です。
「景について(余香残影)」(キャンバス・アクリル絵具)で400×325mmです。



入口横壁面、左端の作品です。
「景について(愛の島)」(キャンバス・アクリル絵具)で606×500mmです。



入口横壁面、右端の作品です。
「池底の裏(追放と景観」(キャンバス・アクリル絵具)で1120×1620mmです。

〈作家コメント 加藤学〉
支川流域を経巡り 近在の野に遊ぶ。 
水源叢祠に至り却立す。
遠方の襞より辿った足跡を遡り 
ほどなく想念も 一巡す。
新たな風光の顕われを待つ。
視ることは 言葉を失う悦びである。  

〈作家コメント 河田政樹〉
作品についてー花瓶に生けた複数の切り花を時間を置いて、また記憶を探るように多重露光した作品

本展は2016年に開催された加藤学×河田政樹展のVol.2になります。
展示で大きく目を引くのは正面に設置されたDJセットです。
二台のターンテーブルによるDJセットは河田政樹さんが用意したもので、実際に会期中に演奏されます。
かなり意表をついたセット、パフォーマンスなので理由を尋ねると、ヒップホップが作品制作のモチーフになっているとのこと。

そこでしばし考えてみました。
ヒップホップと美術ーすぐ浮かぶのはグラフィティですが、河田さんの作品はそれとは違う。
では、何が・・・・。
河田さんの作品は既製の日めくりカレンダーに画像を転写した作品と多重露光の写真作品。
どちらも作家性の薄いもので、匿名的な要素が高い作品です。
レコード音楽をミックスしたDJプレイも従来の作曲、演奏とは異なる手法であり、作家の概念を覆すものです。
それを美術のフィールドに移したら・・・・。
何となく解けてきました。
これは多分、近代の自我が生んだ作家というポジションについての考察ではないでしょうか。

近代以前は血縁、地縁、宗教が人の位置(ポジション)を確定していました。
家や世間、彼岸が自分の役割を示していたのです。
ところがそれらが解体され、人が自由な存在になると自我が芽生えます。
「自分とは何か」が生まれるのです。
そして、しばらくするとそれを専業とする職業が生れます。
つまりは、近代的な作家の誕生です。

ヒップホップが覆したのはそのような作家の特権的地位であり、オリジナリティへの疑問符です。
レディメイドに手を加えた河田さんの(情報満載な)日めくりカレンダーの連作と多重露光写真。
作家であることをさり気なく忌避した作法なのに、オリジナリティな「現代美術の形式」とは異なり、斬新でイカしている。
唐突とも思えるDJと平面のコラボもまったく無理がなく、納得のゆくユニット。

加藤さんの作品も考えてみれば、作家性についての言及がみられます。
絵画が大きく変わったのは写真の発明後です。
それまでの写実を捨てて、絵画独自の表現に踏み出しました。
近代絵画の誕生であり、近代的な自我を抱えた作家の誕生です。

今回の作品、以前のストイックで色彩を抑えた表現から転換して、明るい彩りにあふれた画面です。
尤も、もともとはカラフルな表現でスタートした人なので、原点に還ったとも言えます。
この色彩あふれた風景画は近代絵画の再定義のように思えます。
ここで風景を見ているのは近代人ではなく、山水画を描いたような古人です。
風景を対象として観察するのではなく、風景の中に入って風景と一体となるような在り方です。
脈々と続いた東洋の絵画の伝統を踏まえた見方であり、画法です。
しかし、光の捉え方や眩い色彩は近代絵画のそれです。
その両義的な風景画は、単なる折衷ではなく、絵画の更新であり近代的作家像からの逸脱です。
結果として、絵画の先端に位置すると同時に保守であるという離れ業にもなっています。
これ又、「現代美術の形式」とは遠く離れたパンクな行為です。

この二人の仕事、とても刺激的です。
二人展がコラボレーションにもなったという稀有な企画展です。

ご高覧よろしくお願い致します。



プライスリスト

加藤学×河田政樹2016年藍画廊

加藤学2011年iGallery DC個展
加藤学2013年iGallery DC個展

河田政樹2005年藍画廊個展
河田政樹2007年藍画廊個展
河田政樹2010年藍画廊個展
2013年藍画廊「子育てと美術」展

作家(河田政樹)Webサイト

2018年5月7日(月)ー12日(土)
11:30amー7:00pm(最終日6:00pm)


会場案内