藍 画 廊

福田正明
- 日常 -
FUKUDA Masaaki

福田正明展の展示風景です。



各壁面の展示をご覧下さい。



画廊入口から見て、左側の壁面です。



正面の壁面です。



右側の壁面です。



入口横の壁面です。

以上の13点が展示室の展示で、その他小展示室に1点の展示があります。
作品はすべてタイトル「日常」でアクリル絵具を使用、サイズは455×273mmです。
作品の詳細をご覧下さい。

 


左壁面の作品4点です。

 


正面壁面の作品3点です。

 


右壁面の作品4点です。


入口横壁面の作品2点です。


〈作家コメント〉

私は「日常」を再現している
日常的な情景や物で再現しているわけではない
日常を日常たらしめている構造によって日常を再現している

日常の構造とは、繰り返しと差異である


リュックを背負った女性の全身像が展示室に13点。
どれもが同じように見えますが、よく見ていると微妙に違います。
(掲載画像も撮影して補正しているので実物とは若干異なりますが。)
見比べていると、雑誌などで見かける間違い探しのようで、どこが違うのかなかなか分かりません。
成り立ちを説明すると、まず被写体の女性を撮影し、それを転写してアクリル絵具で描いていきます。
転写の過程で使用する機器に微かなズレが生じて、まずそこに違いが出てきます。
そのズレはいつも同じではなく、1点1点で異なります。
描き続けていると、今度は作者の福田さんが同じ絵の繰り返しに疲れて微少な差異を作り始めます。
この展示のテーマは日常ですが、制作過程もそっくり繰り返しと差異になっているのが本展のミソです。

さて、日常が繰り返しであるのは不思議でも何でもないのですが、ルーティンと呼ばれるな単調な繰り返しになってしまうと苦痛です。
わたしたちは、日々の進歩といったようなプレッシャーに晒されて過ごしています。
経済同様、右肩上がりの向上心が強要されていて、漫然と同じことを繰り返すことは罪だからです。
それらが日常を視野の狭いものに変えてしまっています。
しかしです、同じように見える日常も角度を変えて見てみると、そこには必ず差異があります。
例えば日の出と日の入りの時刻と場所は、とても少しですが毎日違いますね。
自然は同じように見えて、刻々と変化し続けています。
わたしたちの身体も自然と同じように成長し、やがて老化していきます。
そういった差異の総体を昔の人は敏感に察知して、生活を繰り返しながらも楽しんでいたように思えます。
繰り返しを螺旋のような循環と捉えて、年月の経過と共に日常を送る在り方です。
それは、ブランドの記号の差異に翻弄される消費生活とは方向がまったく逆です。

福田さんの近作はコスプレがテーマでした。
コスプレは日常を非日常に変えるマジックツールでした。
それが今回はコメントにあるように、日常にフォーカスしてその繰り返し、差異をテーマにしています。
まったく同じように制作されたポートレイトに起きる小さな差異と、人間が持っているブレのような差異。
その構造への視点はコスプレの構造を描いた視点と同じです。
ベースにあるのは生活への真摯な問いかけであり、社会的な関心に突き動かされた思考の表出だと思います。

ご高覧よろしくお願い致します。

プライスリスト

2014年藍画廊個展
2015年藍画廊個展
2016年藍画廊個展
2017年藍画廊個展
2018年藍画廊個展
2019年藍画廊個展
2020年藍画廊個展
2021年藍画廊個展
2022年藍画廊個展

会期

2023年3月20
日(月)ー3月25日(土)
11:30ー19:00(最終日18:00迄)

会場案内