「世界」2006 当間裕子展
TOHMA Yuko
iGallery企画「世界」の2006年展は、当間裕子さんの個展です。
展示風景です。
作品は綿布に油彩の絵画で、若干厚みのある側面も描画されています。
各壁面ごとの展示をご覧いただきます。
画廊入口から見て、正面と右側の壁面です。 左から、作品サイズ 30(H)×60(W)cm 30×30cm、 18×14cm、 23×16cm、 30×30cm、 16×23cm、 30×30cmです。 |
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入口横右の壁面です。 作品サイズ 30×60cmです。 |
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左側の壁面です。 左から、作品サイズ 45×45cm、 30×30cm、 45×60cmです。 |
以上十一点が画廊内の展示で、その他道路側ウィンドウに一点、芳名帳スペースに三点の展示があります。
それでは各作品をご覧いただきます。
左壁面の左端の作品です。
例によって、当間さんの作品は写真では分かり難いのですが、ご容赦下さい。
雲海のように見えますが、作品の前に立つと、具体的な景色は覚えません。
といって、抽象でもありません。
朧げな形と色が、独自の空間を形成しています。
木版画の高度なぼかしを彷彿させる、質感です。
今回の展覧会は、近年の当間さんとしては大きな絵画が展示されています。
といっても、上の作品(45×60cm)が最大ですから、一般的な大画面とは異なります。
左壁面の右端の作品です。
これは、海景ではないでしょうか。
画面に近づくと、白系の短く細い線が、一面に描かれています。
雨でしょうか。
線の効果で、煙ったような景色に見えます。
シンプルな画面構成ですが、空間に時間が流れています。
正面壁面の左端の作品です。
この作品も大きな部類です。
翠(みどり)が美しい、横長の作品です。
白系の線は上の作品と同じで、雨に見えます。
世界に、静かな一時が流れています。
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正面壁面と右壁面の小品をピックアップしました。
従来の当間さんの作品の系譜に繋がる二点です。
左側の作品は、赤が効果的な、重層的で奥行きのある画面です。
右側は展示全体のアクセントにもなっている、暗色系の小品です。
(今では明るい色彩が多い当間さんですが、初期は専ら黒系の絵画でした。)
入口横右壁面の作品です。
この紋様も、当間さんが好んで取上げる図柄です。
様式を意識しながら、自分自身の画面を作り上げています。
地の部分が多く、ネガ(明部と暗部の反転)のような印象も受けます。
小品とは違う空間の在り方に、興味がそそられます。
当間さんの画面には、特有の世界があります。
それはテキストで触れた通り、瑞々しい空間と時間の流れです。
わたしたちが忙しく送る日常で見失った、空間と時間の流れです。
山奥の温泉や海辺のコテージに行かなくても、身近な日常を見渡せば、そのような空間と時間の流れは見つかります。
時の流れに身を委ねれば、よそよそしかった空間は去って、ありのままの姿を見せます。
当間さんの今回の展示で気が付くのは、前述した大きな作品の空間です。
小品とは異なり、色彩も構図も比較的シンプルです。
モチーフは似ているですが、空間の在り方が、少し変化しています。
スケールとは違う意味の、新鮮な広がりがあります。
このステップは、今後のキャリアに大きな影響を及ぼすと共に、期待を抱かせます。
最後に、水について少し触れます。
当間さんの描く世界に、水は多く現われます。
その水は、雨のように今天から落ちている水であり、海のように遥か彼方まで続く水です。
その二つは無関係ではなく、大きな循環で結ばれています。
当間さんの作品の水は、直接ではありませんが、その循環が背景にあります。
空間に流れる時間が、個々の時間でありながら、世界を含んでいるのはその所為です。
(古からの紋様にも、同じことがいえます。)
だからこそ、空間が親しく、時は自然に流れているのです。
(偶然とはいえ、藍画廊では、水や海をテーマにした展示が三回続きました。)
ご高覧よろしくお願いいたします。
「世界」2006 当間裕子展/テキスト-「時間」小論-
2002年藍画廊個展
2004年藍画廊個展
2005年藍画廊個展
「美」と「術」2002(1)
「美」と「術」2002(2)
iGallery企画 「世界」2006
当間裕子展
THOMA Yuko
2006年12月11日(月)-12月23日(土)
日曜休廊
11:30-7:00pm(最終日-6:00pm)
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