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「美」と「術」2002(2)



次は塩入由美さんの作品です。
正面壁面の「青いカーテン」と題された三点の連作です。



サイズは左から、73(H)×61(W)cm、73(H)×61(W)cm、53(H)×42(W)cm。
キャンバスに油彩です。
下は真中の作品のアップです。



塩入さんは、家の中の何気ない風景を切り取って絵を制作しています。
「絵を描く」という言葉がピッタリする作風です。
作品ファイルを見ると、以前にもカーテンを描いています。
しかし、その絵には窓も描かれていました。
今回のカーテンの後には何もありません。
カーテンとカーテンの隙間には、真っ直ぐな線が見えるだけ。

カーテンを<図>とすれば、背景は<地>になります。
その<地>に確固たる具体性がなくなりました。
では、<地>は色そのものかというと、そうも言い切れない。
この変化は面白いと思います。
もともと強度のある絵画でしたが、一層の強さが出たのではないでしょうか。

カーテンは中と外を区切る布です。
家の中と家の外。
観客席と舞台。
上から吊るされた布の襞が作る表情。
塩入さんがボンヤリと見つめていたカーテンを、いつの間にかわたしもボンヤリと・・・・。


最後は当間裕子さんの作品です。
右側壁面の二点。



左は20(W)×30(H)cm、右は17(W)×18(H)cm。
作品はすべてキャンバスに油彩です。


入口横(右)の作品群。
サイズは最小15(W)×20(H)cm、最大30(W)×31(H)cm。
この壁面だけで13点、全部で18点の小品の展示です。

このアングルから見ると、作品の厚みが各々異なっていることが分かると思います。
その所為もあって、この壁面のランダムな展示は全体が一つの作品のようです。


二点ほどピックアップしてご覧いただきます。



左は作品群の一点。
右は右壁面に一点です。

描くというよりは、染み込ませる、浸透させるという描写です。
油絵具というよりは水彩絵具、それも日本画材を想像させます。
画面の内側に引込まれるタイプの絵ですが、描かれているのはイメージではありません。
景(ながめ)、あるいは様態といったものではないでしょうか。
当間さんの作品には、絵画よりも絵といった呼名が相応しい気がします。
絵で遊ぶ、そんな肩の抜け方が逆に透明感と緊張感を生みだしていると思います。

人為を極力排したような描法で写しだされた色彩と移ろい。
眼をその中で泳がせてみたくなる、絵です。


御高覧よろしくお願いいたします。

藍画廊 本展企画担当 ふくだ まさきよ




「美」と「術」2002  
黒須信雄 塩入由美 当間裕子

会期

2002年12月2日(月)-14日(土)

12月8日(日)休廊

11:30am-7:00pm(最終日6:00pm)



会場案内



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