市川治之展
《のぼるひとII》
ICHIKAWA Haruyuki
市川治之展の展示風景です。
以上の7点が展示室の展示で、その他小展示室に4点の展示があります。
作品の詳細を御覧下さい。
左壁面と正面壁面左の作品です。
左はタイトル「登る人 砂の家-1」(木、アクリル)でサイズ203×91×210mmです。
右は「登る人 階段-1」(木、アクリル)で90×70×30mmです。
正面壁面右と右壁面の作品です。
左は「登る人 砂の家-2」(木、アクリル)で210×91×225mmです。
右は「登る人 階段-2」(木、アクリル)で150×190×30mmです。
入口横壁面の作品です。
「登る人 階段-3」(木、アクリル)で610×470×30mmです。
正面壁面前の作品です。
「登る人 18-2」(木、鉄、アクリル)で1470×510×320mmです。
入口横壁面前の作品です。
「登る人 タワー」(木、鉄、アクリル)で1930×603×310mmです。〈作家コメント〉
人間のDNAに書き込まれた上昇志向は否応なく階段を登らせる。
階段の上に何が待っているか分からなくても今よりは良くなるだろうと
ひたすら信じて登る。 まるで蟻のように列をなしている。市川さんの作品には、哲学的とも言えるシリアスな趣(おもむき)があります。
人間の生や死、存在の不可思議さを正面に据えているからです。
一方で、常に遊びも備わっています。
例えば、一見石彫にみえる今回の作品も、実は木で出来ていて、その古びた仕様も手の込んだ業です。
このフェイク(嘘)は偽物ではなくて、遊びとして、作品に適度な隙を与えています。
見る者の想像力を刺激し、空想の世界に誘う効果があるからです。
市川さんはモダンの人ですが、物語の人でもあります。
無駄な装飾を嫌い、シンプルな造形を専らとします。
そんな作品世界にポツンと、妙にリアルな(紙粘土製の)人が階段を登っています。
ここでわたしたちは物語の世界に入り、その中世のような街や城壁に見入ります。
考えてみれば、市川さんは小説も書く人で、前回展示に貼付したテキストも物語でした。
では、その物語とはどのような筋を持った話なのでしょうか。
結論から言えば、ストーリーに起承転結はありません。
始まりもなければ、終わりもありません。
延々と情景描写が続き、さして事件も起こりません。
そのうち、今どの辺りを読んでいるのかも不明になります。
それで、それが無味乾燥な前衛小説(アンチ・ロマン)かといえば、そんなことはありません。
ディテイルが凝っていて、一向に飽きないし、とても面白い。
物語はメビウスの輪のように展開し、エンドレスに続きます。
それが何を表しているかは、市川さんの責ではありませんし、作品の本質でもありません。
これは答を前提とした作品ではないからです。
わたしたちは、ひたすら見て、考えて、遊んで、時を過ごす。
そういう作品、物語であって、それは即ちわたしたちの生きている時間、空間とどこか重なっているのです。
ご高覧よろしくお願い致します。2001年藍画廊個展
2004年藍画廊個展
2007年市川治之+橋本伸也展
2009年藍画廊個展
2011年藍画廊個展
2012年iGallery DC個展
2015年藍画廊個展
2017年藍画廊個展2018年8月6日(月)ー11日(土)
11:30amー7:00pm(最終日6:00pm)
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