藍 画 廊


川口尚子
KAWAGUCHI Naoko

川口尚子展の展示風景です。



各壁面ごとの展示をご覧下さい。



画廊入口から見て、左側の壁面です。



正面の壁面です。



右側の壁面です。



入口横の壁面です。

以上作品は新聞記事を使用した1点のインスタレーションです。
作品は幾つかのグループに分かれていますので、それをご覧ください。



左壁面、左のグループです。



左壁面、右のグループです。



正面壁面、左のグループです。



正面壁面右と右側壁面左のグループです。



右側壁面、中央のグループです。



右側壁面、右のグループです。



入口横壁面、左のグループです。



入口横壁面、右のグループです。

記事のクローズアップをご覧下さい。




川口さんの新作展は新聞記事のスクラップ(切り抜き)によるインスタレーションです。
記事は科学記事中の生物に関するもので、トピックごとにグループが作られています。
川口さんは科学記事の収集家で、生物の他、過去に天体や微生物などをテーマにした作品もあります。
この作品のポイントは新聞の科学記事に拘っていることです。
今や情報収集ツールとしてはレトロとも思える新聞記事、その中でも傍系の科学記事に焦点をあてていることが特色です。

しかし思い切った展示、作品ですね。
切り抜いた新聞記事だけで作品を作る。
壁面を紙に見立て、記事をドローイングの絵具として使った例はあったとしても、これほどまでに美しいものはなかったでしょう。
カラーの写真と時々混じるモノクロ写真、黒いインクの文字。
それらの科学記事を会場で一気にドローイング(貼付)。
アクションペインティングにも通じる爽快さと感性の奔放さに満ちています。
弘法筆を選ばずと言うより、選んだ素材の活かし方が秀逸で、こういう仕事は川口さんしか出来ないでしょうね。
お見事です。

さてここからは、極々の私見です。
新聞と言えば、明治以降に日本の国家像、国民像の構築を担ったメディアです。
それまでは日本という意識も、国民意識も有りませんでした。
近代の国民国家の形成は新聞が成し遂げたと言っても過言ではありません。
そして科学も明治の近代以降の世界観です。
つまりは、新聞は一つのイデオロギーだったのですね。

その新聞ですが、今やある年齢層以下はほとんど読まない。
中高年でもテレビとインターネットで済ませる人が結構多い。
あの膨大な部数の中身はどうなっているのか、ホント不思議です。
因みにわたしは新聞、それも地方新聞の愛読者です。
と言っても、地方の美術情報と書評が目当てで、その他はテレビとネットで充分と思っています。
(又、わたしの地方の新聞読者の多くは訃報記事のために購読していると聞きます。)

情報としては不要一歩手前で、古新聞も昔のように包装紙としての役も為さない新聞。
そんな新聞と傍系の科学記事を愛してやまない川口さん。
その愛情が作品に昇華していて、とってもビューティフル。
チープだけど、すごくシック(上品)。
美術の魔法を見た思いです。
新聞という窓を通した科学の世界が、画廊の空間で開いています。

ご高覧よろしくお願い致します。

作品配置図

2003年藍画廊個展
2005年藍画廊個展
2007年藍画廊個展
2010年藍画廊個展
2013年藍画廊個展
2015年藍画廊個展


会期

2017年6月12日(月)ー17日(土)
11:30amー7:00pm(最終日6:00pm)


会場案内