藍 画 廊



川口尚子展
KAWAGUCHI Naoko


川口尚子展の展示風景です。


画廊入口から見て、正面と右側の壁面です。

壁面に設置した白い棚の上に、小さな箱状の作品が並んでいます。
右側と入口横右の壁面です。

この箱状の作品の数は全部で72あります。
各サイズは、7.5×7.5×2.8cmです。
左側の壁面です。

ご覧いただいたように、画廊内を一周するかたちで白い棚が設置され、その上に作品が展示されています。
この作品の他、本の形態の作品が四冊あります。


展示の様子をもう少し近づいてご覧下さい。



紙製の白い箱の上にグレーの絵が描かれています。
鉛に墨と胡粉で描いています。
描かれているのは植物で、その植物が箱の内側に収められています。
展示は、箱を全部開けた状態になっています。


こんな形の展示です。

植物は川口さんが日常的に採集したもので、通勤や散歩の途中、あるいは旅先のものもあります。


植物の採集の基準は、それが種であること、又は種を含んでいることです。

種、つまり生命の素(元、基)ですね。


鉛の上に描かれた絵画と、実際の植物。
コントラストが美しいですね。
閉じられた箱から中身を引きだしたら、その時は、きっと驚くでしょうね。

本として綴じられた作品は、新聞記事のスクラップをトレーシングペーパーにコピーしたものです。
コピーの内容は、宇宙や動植物の生命に関する科学記事が中心です。


画廊の展示作品は、ある意味で、植物の死骸です。
死骸ですが、その中には生命の素が宿っています。
もし適当な土壌があれば、生命は育っていきます。
わたし達は生と死が分離した社会で生きていますが、ここにあるのは連鎖した世界です。
死が生を生み、生はやがて死となり、再び生に繋がる世界です。

川口さんは、なぜ科学記事を(モノクロームで)スクラップしているのでしょうか。
なぜ、モノクロームの絵画を描いているのでしょうか。

絵画は直観に依拠し、科学は客観を旨としています。
その二つは、観察という点で一致しますが、方向性は反対を向いています。
想像するに、川口さんは両者の合流点を夢見て、作品を制作していような気がします。
(反対の方向に向かいながら合流するとすれば、両者は円の軌跡を辿ることになります。)
科学の喚起する想像力と絵画の深遠で神秘的な世界を両の手にして。


ご高覧よろしくお願いいたします。


2003年藍画廊個展



会期

2005年5月30日(月)-6月4日(土)


11:30am-7:00pm(最終日6:00pm)


会場案内