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藍 画 廊


川口尚子展


川口尚子展の展示風景です。

画廊入口から見て、正面と右側の壁面です。

小さな作品が帯状に壁面に展示されています。

作品は一点が185(H)×145(W)mmで、展示総数は九十五点になります。

作品は画廊内を一周するように展示されています。

作品は、パネルに鉛を貼り、墨、胡粉、煤で描かれています。
白い壁面に、鉛の鈍い輝きが印象的です。



正面から左壁面にかけての展示です。
この角度からでは継ぎ目なく展示されているように見えますが、実際は壁面と壁面に間には隙間があります。



今度は正面から右壁面にかけてです。
整然と並べられていますが、よく見ると作品と作品の天(てん)がキモチ不揃いです。
その不揃いさが、描かれた作品の内容と微妙に響きあっているような感があります。



入口横右壁面の展示です。
通常同一サイズのモノクロームの作品が規則的に展示されていると、そこには張りつめた空気が生れます。
川口さんの作品もその例に漏れず緊張感のある作品、展示ですが、同時にユルさもそこにはあります。

いつもは厳密な展示方法に添って作品の制作が行われるのですが、今回は作品の制作が先行したそうです。
大まかな展示を頭に入れて、作品を作り始めたそうです。

任意に選んだ二点をご覧いただきます。

鉛の質感がお分りいただけるでしょうか。
鉛の重さをさほど感じさせないのは、描かれている絵が関係しているのかもしれません。

抽象のような、具象のような、模様のような、絵です。
川口さんが以前から描き続けている、絵です。

川口さんの興味は、微生物や宇宙の有り様です。
具体的な人間から遠く離れた、それらの生態、運動です。
つまりは「科学」です。
川口さんはある意味で、科学少女なのです。

作品制作の種本ともいうべき自作の本が画廊内に置かれています。
手に取って自由にご覧いただけます。

ここに集められたのは、新聞の科学記事、写真のコピーです。
レイアウトを多少変えて、トレーシングペーパーにコピーして製本したものです。

遥か彼方の星雲や遺伝子の記事、写真を、新聞で何気なく見たことが一度はあると思います。
そういった記事、写真を集めて編集したものです。

これらの写真はイメージとして川口さんの内側に取り込まれ、作品制作の種(シード)になります。
蒔かれた種から自由に発想して作品は作られていきます。

わたしが画廊に入ってまず感じたこと。
それは、古い着物(和服)の柄です。
彩度を落とされて、モノクロームになった着物の柄の集積を想像しました。
そして、その美しさに少し圧倒されました。

それは、記憶の底にある何かが現れたような感覚です。
鉛という物質と絵画。
そこに秘密がありそうです。

ご高覧よろしくお願いいたします。

会期


2003年4月7日(月)-4月12日(土)


11:30am-7:00pm(最終日6:00pm)



会場案内



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