藍 画 廊



川口尚子展
KAWAGUCHI Naoko


川口尚子展の展示風景です。



展示された作品の一部です。
透明なアクリル板なプリントされた写真と文字。
アクリル板の大きさはタグ(荷物札)と同じくらいの大きさ。
それが針金に多数吊るされています。
風や室内の空気の動きで、アクリル板は静かに揺れます。


画廊入口から見て、正面と右側の壁面です。

五点の複合作品が展示されています。
針金、アクリル板、新聞記事のコピーが使われています。
サイズは可変です。
入口横右の壁面です。

こちらは一点の展示です。
左の壁面です。

七点の単独作品と本が展示されています。


以上が画廊内の展示で、その他道路側ウィンドウに一点、芳名帳スペースに一点の展示があります。
展示作品を幾つかご覧下さい。



右壁面の作品です。
アクリル板が、ツリーのようになった針金から吊るされているのが分かりますね。
モビールの作品で、揺れると、影もユラユラと移ろいます。
画像ではアクリル板にプリントされた写真の色がカラーに見えますが、実際はすべてモノクロームです。
一枚のアクリル板を見てみましょう。


新聞の科学記事をコピーしたものがプリントされています。
左の作品は、電子顕微鏡で見たスギ花粉ですね。
花粉症の季節に載った記事と思われます。
記事はキャプション(簡単な説明文)です。
一番下の記号は、川口さんが付した作品番号ですが、謎に満ちています。
作家の密やかな愉しみとして付けられた作品番号ですが、意味がお分かりでしょうか。
(わたしは、サッパリでしたが。)


次の作品です。



正面壁面の作品です。
科学記事は川口さんがスクラップしたもので、この習慣はかなり前からのものです。
スクラップした記事を整理して、幾つかの基準にそって作品化します。
それと同時にトレーシングペーパーにもプリントして、本を造ります。




左壁面に展示されているのが、その本です。
この本造りも、展覧会ごとに行われていて、バックナンバーが画廊内のテーブルに置かれています。
本は手に取って自由に見ることができます。


科学少女(?)川口尚子さんの作品は、常に新聞の科学記事(特に写真)がベースになっています。
ミクロであったりマクロであったりする画像を素材に、作品を作り上げていきます。
今回はモビールの作品です。
構造は単純ですが、提示された世界はとてつもなく広い。
ユラユラ揺れながら、森羅万象を映しだします。

ここで個人的な経験を書いてみます。
わたしは散歩しながら、気の向くままに写真を撮ります。
人家の庭先に綺麗な花があれば、取りあえずレンズを向けますが、モノになるものは少ない。
地面に眼を向けると、ここそこに雑草が生えています。
普段は意識に上らないそれらに、フレームをかけると、一つの世界が現出します。
人手とは無縁の、独立した世界が表れます。

綺麗な花は人知や美意識の結晶ともいえるもので、それはそれで侮れません。
意外な倒錯が見え隠れして、人というものの不思議さを感じさせます。
一方雑草の方は、宇宙とも繋がるような広大な世界を夢想させます。
その地味な外観とは裏腹に、万華鏡のような世界を内包しています。
場合によっては、頭がクラクラしてしまうようなビジョンが見えてきます。

川口さんの作品は、雑草の世界に近い。
わたしの個人的な経験から、そう思います。
モノクロームの作品からは、想像を絶する世界が拡がっている。
その世界の広大さと不思議さに、頭をクラクラさせながら、川口さんは作品を作っていると、わたしは想像します。

最後は、道路側ウィンドウの展示です。



ご高覧よろしくお願いいたします。

2003年藍画廊個展
2005年藍画廊個展



会期

2007年5月28日(月)-6月2日(土)

11:30am-7:00pm(最終日6:00pm)


会場案内