熊谷美奈子展
KUMAGAI Minako
熊谷美奈子展の展示風景です。
各壁面ごとの展示をご覧下さい。
画廊入口から見て、左側の壁面です。
タイトル「Gold 2012-03」でサイズ24(H)×132(W)×24(D)cmです。
正面の壁面です。
「Silver 2012-02」で、45×45×45です。
右側の壁面です。
左から、「Gold 2012-02」で14×13×13、「Copper 2012-01」で15×13×13、「Gold 2012-01」で14.5×11×11、「Silver 2012-01」で15×10×10です。
ここまでの作品は厚紙・和紙・澱粉糊・胡粉・アクリル・合成樹脂塗料 等を使用しています。
入口横の壁面です。
左から、「Enamel egg」、「Graphite egg」、「Silver egg」、「Gold egg」、「Copper egg」でサイズはすべて11×8×8です。
この作品は発泡スチロール・和紙・澱粉糊・アクリル・合成樹脂塗料 等を使用しています。
以上の11点が展示室の展示で、その他小展示室に7点、事務室壁面に1点の展示があります。
左壁面の「Gold 2012-03」です。
タイトルの通りゴールドに輝く作品で、中央から分断され、シンメトリーに展示されています。
形は何か懐かしさを感じさせますね。
熊谷さんの作品の特色は、それが紙で出来ていることです。
建築模型で使う厚紙で基本的な形を作り、和紙で補強します。
何気なく見ていると金属や木の造形に思われるので、紙と知らされた時は軽いショックを受けます。
正面壁面の「Silver 2012-02」です。
これはシルバーですが、何ともいえない質感ですね。
メタリックな冷たさ、重さと、紙の温かさ、軽さを同時に感じます。
上部の凹みは紙を折り曲げて出来たもので、ここにはドローイングが施されています。
右壁面の 「Gold 2012-02」と「Copper 2012-01」です。
同じく右壁面の「Gold 2012-01」と「Silver 2012-01」です。
形状は正面壁面の「Silver 2012-02」のヴァリエーションとも言えるもので、いずれも上部に凹みがあります。
この金属の光沢はスプレー塗料(合成樹脂塗料)を使っていますが、ここまでの光沢を出すには下地をしっかりフラットにする必要があるそうです。
具体的には胡粉を何回も塗って均一な面を出します。
入口横壁面の3点、「Enamel egg」、「Graphite egg」、「Silver egg」です。
卵の形は以前から熊谷さんの重要なモチーフで、グラファイト(鉛筆の芯)も熊谷作品の原点です。
〈作家コメント〉
一見わかりにくいですが、厚紙と和紙を貼り合わせた立体を作っています。
中は空洞なため非常に軽量です。
外見と本質のギャップ、似た形の全く違うもの(卵と手榴弾他)、などが近年の制作に関わる興味です。
コメントにあるように、熊谷さんは正反対のものを一つの作品に同居(内包)させています。
種子と弾丸、卵と手榴弾、およそ相容れないものが溶け合うようにして、一つの作品として結実しています。
その根底には生と死があります。
断絶した生と死ではなく、循環としての生と死。
そういった観念が作品の核になっています。
端正な作品の造形と佇まい。
シンプルで無駄のない空間構成。
外見(金属)と本質(紙)のギャップ。
それらが生み出しているのは、浮遊するようなモノと空間の関わりです。
心地良い緊張感。
画廊で展示を眺めていると、まずそれが実感されます。
重くもなく、軽くもない、丁度良い具合の質量感。
壁面ごとに表情を変えながら、連続する展示の妙。
ふと小展示室を覗けば、ガラスのボールに卵が・・・・。
作品の完成度を上げることは、(言葉では簡単ですが)難しいものです。
熊谷さんは着実に完成度を上げて来ています。
それが作品に説得力を与え、心地良い緊張感と共感を生み出しています。
ご高覧よろしくお願い致します。
2004年藍画廊個展
2005年藍画廊個展
2008年藍画廊個展
2009年藍画廊個展
2011年藍画廊個展
作家Webサイト
会期
2012年11月19日(月)ー11月24日(土)
11:30amー7:00pm(最終日6:00pm)