熊谷美奈子展
KUMAGAI Minako
熊谷美奈子展の展示風景です。
各壁面の展示をご覧下さい。
画廊入口から見て、左側の壁面です。
左から、作品タイトル「 BRONZE 03 」(紙・アクリル 他)で、作品サイズ97(H)× 19(W)× 19(D)cm、「 BRONZE 01 」(紙・アクリル 他)で53 × 13 × 13、「 BRONZE 02 」(紙・アクリル 他)で53 × 8 × 8です。
正面の壁面です。
「 BRONZE 04 」(紙・アクリル 他)で19 × 90 × 19です。
右側の壁面です。
左から「 SILVER 03 」(紙・アクリル 他)で101 × 16 × 16、「 SILVER 02 」(紙・アクリル 他)で46 × 18 × 18、「 部分 」(和紙・グラファイトクレヨン 他)で87 × 14 × 10です。
入口横の壁面です。
「 部分 」(和紙・グラファイトクレヨン 他)で192 × 21 × 21です。
以上の八点が展示室の展示で、その他小展示室に三点、事務室壁面に一点の展示があります。
左壁面の「 BRONZE 03 」です。
タイトルはブロンズですが、青銅ではなく、紙にアクリル絵具を使用した作品です。
一見すると金属に見える質感も、近づいてよく見れば、紙の柔らかさと軽さが伝わってきます。
形は、何か懐かしいカタチを感じさせます。
同じく左壁面の「 BRONZE 01 」です。
カタチの懐かしさは、実際の記憶というより、遙か昔の太古の懐かしさです。
DNAに刷り込まれたカタチの記憶です。
作品の部分のアップです。
最終的にはアクリル絵具のブロンズで覆われていますが、ご覧のように多くの下地の色が塗られています。
形は立体ですが、紙に描かれた絵画の要素を併せ持った作品です。
その複合性と質感とフォルムが、熊谷産の作品の特色です。
正面壁面の「 BRONZE 04 」です。
左右対称の形ですが、何かが細胞分裂(増殖)しているようにも見えます。
無機的な質感と有機的な動きが癒合したような作品。
右壁面の二点、 「 SILVER 03 」と「 SILVER 02 」です。
これも銀製ではなく、他の作品同様紙で作られています。
熊谷さんのお話では、形は基本の形(楕円、円錐)を繋ぎ合わせているそうです。
入口横壁面の「 部分 」で、この作品の制作年度は2004年で、専ら和紙にグラファイトクレヨンを使っていた頃の作品です。
グラファイトクレヨンは鉛筆の芯をクレヨンにしたもので、丹念に塗りこめていくと金属の質感に似てきます。
作品の横には隙間があるので、横から見れば和紙で出来ていることが分ります。
立体であると同時に絵画であることは、そう奇異なことではありません。
しかしこの質感は、やはり独特です。
紙でありながら金属を彷彿させる質感。
熊谷さんの作品ならではの、質感です。
そして静止したようなカタチでありながら、何かが生まれている(生まれてくる)ようなカタチ。
同じように、作品は冷たいようで、温かさを感じさせます。
そういった相反した要素の両立も、熊谷さんの作品の特徴です。
今回の展示は、色としては特殊なブロンズ、シルバー、ゴールドのアクリル絵具を使用しています。
グラファイトの作品に比べると、絵画性は一層強くなっています。
そのペイントの丁寧さと端正さは同じですが、ドローとペイントの違いのようなものを感じます。
丹念に見れば、金属の色には多彩な色が見え隠れしていて、古典的な絵画を見るようです。
しかし作品には紛れもない現代性があって、その相反した感覚を楽しむのも一興です。
懐かしいカタチ。
その原形は、種のカタチに似ています。
種は生命の源です。
作品のカタチには連続性があって、それは生と死の不断の連続を想起させます。
生を含む死、死を含む生。
その観念(思想)が、太古にもあって、懐かしいカタチとしてわたしたちの記憶を呼び覚ますのでしょうか。
無駄のない、クールでキリッとした画廊空間。
なのに、そこに流れる空気は優しく、温かい。
いつまでもここにいたいと思わせる、作品の表情とカタチ。
それは作品に金や銀や銅の輝きがあるからではなく、本当にリッチだからです。
正しく、作品がリッチだからです。
ご高覧よろしくお願いいたします。
2004年藍画廊個展
2005年藍画廊個展
2008年藍画廊個展
作家Webサイト
会期
2009年11月30日(月)-12月5日(土)
11:30am-7:00pm(最終日6:00pm)
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