熊谷美奈子展
KUMAGAI Minako
熊谷美奈子展の展示風景です。
道路側入口から見た床面の展示です。
砲弾のような、卵のような、アーモンドチョコのようなものが、展示されています。
それではいつものように、各壁面に分けてご案内させていただきます。
画廊入口から見て、正面と右側の壁面方向です。
左から時計回りに、作品タイトル「SAND IN PHG EGG 01」、「SAND IN PHG EGG 02」、
天井から吊り下げられた「PHG EGG : Falling」、
奥の二点が、「PHG EGG : W04」、「PHG EGG : Burst / Birth 04a」、
手前の黒い三点、「PHG EGG : B 04b (Green)」、「PHG EGG : B 04a (blue)」、「PHG EGG : B 04c 」です。
入口横右の壁面です。
床置きの作品は紹介済みで、壁面の二点、「PHG EGG : B 02b (Green)」、「PHG EGG : B 02a (blue)」です。
左側の壁面です。
手前の三点は紹介済みで、向こう側の床面左から、「PHG EGG : W03a」、「PHG EGG : W03b」、「PHG EGG : W03c」、
「PHG EGG : B03b」、「PHG EGG : B03a」、
壁面の作品、「PHG EGG : Burst / Birth 03a」です。
以上の16点が画廊内の展示で、その他道路側ウィンドウに6点、芳名帳スペースに2点の展示があります。
作品の素材は手漉和紙 、グラファイトクレヨン、砂です。
左壁面の「PHG EGG : Burst / Birth 03a」です。
PHGとは、Paper Hand Grenadeの略で、紙製手投げ弾(手榴弾)のことです。
紙でできた手投げ弾は実際に存在しませんので、PHGは作者の造語です。
EGGは卵ですね。
Burst は爆弾などの破裂で、Birthは誕生。
左壁面方向の床置きの作品です。
手前の二点は手投げ弾(砲弾)のような形、質感で、奥の三点は卵に似ていますが、ポジとネガのような関係になっています。
何れの作品も下部に砂が敷かれています。
手前が黒で、向うが白です。
黒い作品は金属製に見えますが、紙でできています。
手漉和紙で形を作り、グラファイトクレヨン(鉛筆の芯のクレヨン)で塗りつぶしています。
正面壁面方向の床置き作品二点です。
左壁面の作品と形態が同じですが、中には砂が入っているようです。
天井から吊るされた「PHG EGG : Falling」です。
紙製手投げ弾/卵が落下する様子が描写されています。
物体と物体の間隔が異なるのは、重力の関係と推測します。
画廊のほぼ中央に置かれた「PHG EGG : B 04b (Green)」、「PHG EGG : B 04a (blue)」、「PHG EGG : B 04c 」です。
タイトルのGreen、blueとは、手投げ弾の種類を示しているそうで、作品の後端部に識別の色が円く塗ってあります。
これは一種の遊びで、識別を施すことで、紙製手投げ弾をより本物らしくしています。
道路側ウィンドウの展示です。
(棚の上に四点の作品ですが、棚の下(床面)にも二点の作品があります。)
こちらはサイズが小さく、可愛らしい作品です。
実際の卵と同サイズぐらいでしょうか。
黒が一つに、白が三つ。
反目しているような、していないような。
熊谷さんの作品でいつも感心させられるのは、作品の丁寧な作りです。
実に丁寧に作られています。
そして、その一見静謐な作品の中に、破壊と誕生が秘められています。
手投げ弾による殺戮と、卵が内包する生命の原初。
正反対の現象、事柄が、一つの作品の中で同居しています。
黒と白、紙と金属、生と死。
それはあらゆる事物の陰と陽です。
陰と陽が在るからこそ、世界は運動しているのかもしれません。
空から落下する手投げ弾。
地上に着くや否や爆発し、辺りは破壊されます。
空から落下する卵。
地上に着くや否やグシャッと潰れるのではなくて、誕生の始まりです。
そう、卵が産み落とされた瞬間なのです。
卵が先端が割れて、そこから生物が生まれてくるかと思えば、恐ろしい手投げ弾が姿を現す。
生は死の始まりであって、生を生として足らしめているのは、死の存在です。
そういう思いが、作品を見ていると湧いてきます。
卵の形と手投げ弾(砲弾)の形。
どうして似ているのでしょうか。
あの形には、何か秘密があるのでしょうか。
陰と陽の、秘密が隠されているのでしょうか。
ご高覧よろしくお願い致します。
2004年藍画廊個展
2005年藍画廊個展
作家Webサイト
会期
2008年4月21日(月)ー26日(土)
11:30amー7:00pm(最終日6:00pm)
会場案内