藍 画 廊



土居隆範展
・・・表面の位置について・・・
DOI Takanori


土居隆範展の展示風景です。


画廊入口から見て、正面と右側の壁面です。

左から、作品タイトル「Positon of S 0608」で、サイズは47.1(H)×62.5(W)cm、
「Positon of S 0607」で、63.0×48.0cm、
「Positon of S 0606」で、48.0×61.9cm、
「Positon of S 0609」で、62.2×95.3cmです。
入口横右の壁面です。

左から、「Positon of S 0601」で、63.0×47.5cm、
「Positon of S 0602」で、47.3×63.0cmです。
左の壁面です。

左から、「Positon of S 0604」で、62.7×47.0cm、
「Positon of S 0603」で、47.4×62.0cmです。


以上八点が画廊内の展示で、その他道路側ウィンドウに一点の展示があります。
作品はすべて、紙にデジタルプリント、水彩、アクリルを使用しています。



左壁面の「Positon of S 0603」です。
画面中央の画像はデジタルプリントされた風景で、二つに分断されています。
高速道路の下の日本橋を撮影したものですが、(掲載画像では分かりませんが)橋の下部には蝉の抜け殻がコラージュされています。



正面壁面の「Positon of S 0606」です。
上の作品同様、画面に規則正しく引かれた横の線が気になると思います。
この線はどういう意味を持つのでしょうか。

作品の構造を簡単に説明します。
和紙にデジタルプリントされた画像を貼り付けます。
この画像は東京湾の風景と多摩川と動物(狐)を合成したものです。
画面に引かれた横の線は、糸の型押しです。
中央の画像を囲むように水彩、アクリルで描画されます。
最後に縦状にマスキングしてペイントすると、擦れた帯のようなものが浮かび上がります。



右壁面の「Positon of S 0609」です。
中央の画像は上と同じ風景です。
海の水が手前で滝のように落ちていますが、これは合成で、落下部分は川の段差です。
その段差の奥を見ていると、二匹の動物が認められます。
狐、です。



入口横右壁面の「Positon of S 0602」です。
川の風景に、キリンの頭部が唐突にコラージュ(合成)されています。
キリンは上野動物園で撮影されたものです。
夕焼けの地平線が、アフリカの草原に見えますね。


さて、等間隔に引かれた(型押しされた)横の線です。
擦れたこの線の所為で、眼は画像の仮象としての奥行きから引き戻されます。
紙の表面に戻されるわけです。
しかし、眼が画像に焦点を合わせれば、再び奥行きのある景色を見ることになります。

紙の表面と画像の奥行きの間にある空間は、虚の空間で、視覚のメカニズムを利用したものです。
絵画は二次元ですから、奥行き(厚み)がありません。
現実の風景には奥行きがありますから、それを描く場合、描画方法で奥行きを認識させます。
例えば、遠近法です。

土居さんが一貫して提出しているのは、実と虚の問題で、かなり厄介な問題です。
しかしこれは問題提起でもありますが、土居さんの表現そのものです。
実と虚の間で戯れる、土居さん表現です。
コラージュ(合成)も画像情報の虚実を問うと同時に、(良い意味で)遊びがあります。
そのバランスが、土居さんの作品の真価ではないでしょうか。

ご高覧よろしくお願いいたします。

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会期

2006年11月20日(月)-11月25日(土)


11:30am-7:00pm(最終日6:00pm)


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