土居隆範展の展示風景です。
画廊入口から見て、正面と右側の壁面です。 左から、タイトル「0507」で、サイズは47.5(H)×63(W)cm、 「0508」で、47.5×61.3cm、 「0504」で、48×62cmです。 |
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入口横右の壁面です。 |
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左側の壁面です。 左から、「0501」で、62×47.5cm、 「0502」で、31.3×47.2cmです。 |
画廊内は以上の七点で、その他道路側ウィンドウに一点の展示があります。
作品はすべて、紙にデジタルプリント、アクリル、水彩を使用しています。
左側壁面の作品です。
制作過程を簡単に説明すると、和紙にデジタルプリントされた画像を貼り付けます。
中央の鳥の画像がデジタルプリント(インクジェット)です。
作品には糸のような線が等間隔で見えますが、これは型押しです。
ペインティングは鳥の画像から広がる形で施されます。
縦の擦れた帯は、周囲をマスキングしてペイントします。
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正面壁面の作品です。
前回藍画廊個展の作品と大きく違うのは、ベースがパネルから紙に変わったことです。
以前のカチッとした印象が和らぎ、手彩色版画のような感触になりました。
土居さんの作品の特徴であったパネルに等間隔に張られた糸は、型押しとなりました。
これも大きな変化です。
絵具も油彩から水彩になりました。
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右側壁面の作品です。
作品の体裁は変換しましたが、表現の中身は変わっていません。
それは最初の個展から一貫していて、絵画がもたらす虚の空間をテーマにしています。
デジタルプリントされた画像は、これまでと同じく特に意味がないそうです。
虚の空間を現出させるための、(素材としての)絵に過ぎません。
今回は鳥が写された風景が三点で、他も水辺などの風景です。
入口横右壁面の作品です。
野原で自然にできた、枯れ木と枯れ草の家でしょうか。
写真部分とペインティング部分の、融合と違和が際立つ作品です。
絵画の技法は平らな面に奥行きをもたらします。
人間の眼のメカニズムを利用した方法です。
一方で紙に型押しされた糸のラインは、それが平面であることを主張しています。
擦れた帯が、一層平面性を強調しています。
眼の焦点は合わせるところを失って、絵画の中をさ迷います。
しかしその時、虚として出現した空間を発見します。
この空間の存在はどのような意味を持っているのでしょうか。
和紙に水彩という体裁は、この問題へのアプローチを少し変えました。
それと共に、表現の成熟度が高まっています。
作品の表情の変化は、(見る者の)作品へのアプローチも、少し変化させました。
この二つの少しの変化は、小さいようで大きいと思います。
作家にとっても、鑑賞者にとっても、作品との距離が縮まったからです。
ご高覧よろしくお願いいたします。
2001年藍画廊個展
2002年藍画廊個展
2003年藍画廊個展
2004年藍画廊個展