藍 画 廊



太田武志展
記憶ーEmpty Sky
OTA Takeshi


太田武志展の展示風景です。



各壁面ごとの展示をご覧下さい。
画廊入口から見て、左の壁面です。



画面手前の台座の立体は「Untitled 1」(アクリル・木材)で、120(H)×150(W)×150 (D)mmです。
壁面左から「 Empty Sky No.07」(写真)で89×2250、「Empty Sky No.06」(写真)で89×2250です。



正面の壁面です。
手前の立体は「Untitled 2」(アクリル・木材)で、120(H)×150(W)×150 (D)mmです。
壁面は「Empty Sky No.08」(写真)で89×3000です。



右側の壁面です。
壁面は「Empty Sky No.05」(写真)で89×6000です。



入口横の壁面です。
壁面は「Empty Sky No.09」(写真)で89×2250です。

以上の七点が展示室の展示で、その他小展示室に二点の展示があります。



アクリルの立体「Untitled 1」です。
透明なアクリルに封じ込められているのは、樹の年輪をくり貫いたものです。
前回個展の作品の発展型で、円い輪は一年分の年輪です。
一年分の年輪が10本、つまり10年分の時間がアクリルの中で浮いています。



左壁面の「 Empty Sky No.07」の部分です。
デジタルカメラで撮影した画像を印画紙にプリントしたものです。
写っているのは空です。
ある距離をおいて、連続して撮影したものと思われます。
今回の展示「記憶ーEmpty Sky」について、太田さんが記したテキストがあります。
まずはそのテキストをご覧下さい。



「 Empty Sky No.07」のアップです。



同じく左壁面の「Empty Sky No.06」の部分です。
どうもこれは東京の風景(空)のようですね。
移動しながら、一定の距離で止って、空に向けてシャッターを切っているようです。



正面壁面の「Empty Sky No.08」の部分です。
この空は青いですね。
太田さんに訊ねたところ、パリのシャンゼリゼの空だそうです。



パリついでにもう一点。
小展示室に展示されている写真作品です。
「centre」で148×100です。
下の地面の印はパリの中心を表しているものだそうです。
つまりパリのヘソにあたる所で、観光名所です。
上はその印の真上の空です。


右壁面の「Empty Sky No.05」の部分です。
この空はご自宅(愛知県岡崎市)の近くで、クルマで移動しながら、一定の距離で停車して撮影しました。
他の空と違って雲が多く、電線も写っています。



今度は中国は北京の空を撮影した、入口横壁面の「Empty Sky No.09」の部分です。
右が空の色でないのは、一定に移動(歩数)した所が、たまたま建物の中だったからです。
ここでは、その建物の天井が写されています。


グルリと展示室を一周するように展示された、空の小さな写真。
ある程度の(距離や歩数の)間隔を於いて撮影された空は、映画のフィルムのコマのようにも見えます。
しかしそこには物語はなくて、あるのはその時の空間と時間です。

わたしたちには常識というものがあって、それによって物事を判断しています。
2000年になった時、それが1000年に一度であることは常識でした。
その1000年間を生きたわけでものなく、1000年に一度だからなぜ目出度いのか解らず、祝ったのでした。
それが時間の常識であったから、盛り上がったのでした。
(例の2000年問題というのも、ありましたが。)

正月は、目出度い。
なぜなら、正月とは再生の時であり、死からの蘇りだからです。
これも常識であったのですが、今では「目出度い」だけが残って、本体は忘れ去られようとしています。
年末年始商戦や景気の動向などという経済効果だけで「目出度い」を計る風潮が強いからです。

時間とは何か。
太田さんの提出した、大きな大きな問題です。
木を切って年輪を見れば、そこに時間の集積を見ることが出来る。
それを分解して空中に散乱させたのが、前回の展示でした。

今回は、何もない空から時間を読み取ろうとしています。
無謀な試みです。
しかし、とてつもなく面白い。
空(そら)は空(くう)とも読みますが、何も無いわけではありません。
そこには、空間があります。

この空(くう)に時間を読み取る。
あるいは、時間とは何かを問いかける。
その実験が「記憶ーEmpty Sky」です。
単にそれは、一定距離と一定時間をおいて撮影された空の画像ではありません。
ここでは、時間の直進性(という常識)も問題にされています。
年輪が円いように、空もただ広がっているだけではありません。
そう考えると、グルリと一周した展示は、暗示的です。

ご高覧よろしくお願い致します。

太田武志さん制作による作品リスト(画像)
(展示前のリストですので、展示されていない作品も含まれています。)

2002年藍画廊個展

2003年藍画廊個展
2004年藍画廊個展
2005年藍画廊個展
2006年藍画廊個展
2007年藍画廊個展

2008年藍画廊個展


会期

2009年7月20日(月)-7月25日(土)


11:30am-7:00pm(最終日6:00pm)


会場案内