藍 画 廊



伊藤幸枝
「汲む」
ITO Yukie


伊藤幸枝展の展示風景です。



画廊入口から見て、正面と右側の壁面です。
左から、作品サイズF 20、F 20、F 10(上)、SM(下)です。



入口横右の壁面です。
左から、F 4、F 10です。



左の壁面です。
左から、F 10(上)、SM(下)、F 10(上)、SM(下)です。

以上の十点が画廊内の展示で、その他道路側ウィンドウに二点、芳名帳スペースに一点の展示があります。
作品はすべて紙、アクリルガッシュ、カラーペンシルを使用しています。



左側壁面の左の作品です。
作品にはタイトルが記されていませんが、作品識別の為の色名が付いています。
上が赤紫で下が紫。



正面壁面左の作品です。
色名は緑です。

伊藤さんの作品、一見すると普通の抽象絵画ですが、制作過程が特殊です。
まず紙に水を流し、それからアクリルガッシュ(絵具)を塗っていきます。
紙の繊維には密と粗がありますから、水分の吸収が紙の部分によって異なります。
つまり、水や水性絵具を流せば斑(まだら)になるということです。

その斑な画面を見ながら、又絵具をかけます(流したり、描いたり、擦ったりする)。
紙を両手に持って、流した絵具を左右上下に導いて、色を定着させることも度々です。
それを繰り返して、ある時点で制作は終りになります。
結果として、絵具の層が何層にも重なった絵画が完成します。



同じく正面壁面右の灰色です。
この作品を見ると、絵具の流れ(紙の吸湿の差)が分かります。



右壁面の作品です。
上下とも青の色名が付けられています。
左壁面と同じく、上下に組で作品が展示されていますが、制作当初からの意図ではないようです。
展示の段階で組み合わされたものと想像します。



入口横右の左の小品です。
水色と黄緑
透けて見える色の変化と形が、とってもチャーミングな作品。
最後は右の青です。





伊藤さんの前回の展示をご覧下さい。
リボンが舞っていますね。
その背景(地)の部分に注目してみて下さい。
今回の制作は、その背景を前面に出して、制作されたものです。

伊藤さんの作品では、背景は地層をイメージしたものでした。
地層とは、長い時間を経て形成された土の層です。
主に自然の作用で地層は変化しますが、人為も影響を及ぼしています。

今回の作品のテーマは、色です。
色とは何か。
その探求は、地層の成り立ちと同じ方法論が採られています。
自然に起きる変化と、人為。
紙という物質がもたらす絵具への作用と、伊藤さんが人為的に作り出す「絵画」への道筋。
その相互が、色を決定していきます。

「汲む」。
展覧会のサブタイトルです。
汲むには、水を手や器物ですくい取る意味と、人の心を推し量る意味があります。
色は、その両方の意味を重ねて、そこに在ると思いました。

ご高覧よろしくお願い致します。


2005年藍画廊個展
2006年藍画廊個展
2007年藍画廊個展



会期


2008年5月26日(月)ー5月31日(土)


11:30amー7:00pm(最終日6:00pm)



会場案内