藍 画 廊



伊藤幸枝展
ITO Yukie


伊藤幸枝展の展示風景です。


画廊入口から見て、正面と右側の壁面です。

左から、作品サイズF20、F10、F20、F20です。
入口横右の壁面です。

三点とも作品サイズはF6です。
左側の壁面です。

左から、F20、F10、F6です。


以上の十点が画廊内の展示で、その他道路側ウィンドウに一点、芳名帳スペースに一点の展示があります。
作品はすべて紙にアクリルガッシュ、カラーペンシルを使用しています。



左壁面の左側の作品です。
作品には、タイトルではありませんが、色名が記されています。
上の作品は「灰色 No.1」になっていますが、基調になっている色のことでしょうか。
リボン状の色面の幾つかが灰色で、画面の流れを作っていますね。

作品の構造は前回と同じで、何層かで構成された色面が地となり、その上にリボン状の図が描かれています。
細かなドットが地にあるのも、同じです。
複雑な地形の、遥か上空を舞う色の流れ。
そんな想像をさせる画面ですが、他の作品に比べるとマットな仕上がりが目立ちます。



左壁面中央の作品です。
この作品の色名は「
紫 No.1」です。
画面の中央部に拡がる紫が印象的です。



正面壁面の左側の作品です。
色名は「赤 No.2」。
個人的には一番好きな作品で、地の透明感ある赤と無数の小さな白い輪(ドット)が何ともいえません。
その上のリボンの動きはダンスのようで、音楽が聞えてくるような作品です。


正面壁面の右側の作品です。
色名は「青 No.3」です。
上の赤と対照的な青ですね。
リボンは三つのパートに分けられますが、パース(遠近)がついているようで面白い。
音楽に喩えれば、メインボーカルとバックコーラスでしょうか?



入口横右壁面の三点です。
色名は左から「青 No.2」、「黄緑 No.3」、「青緑 No.4」です。
異なる旋律の音楽に見えますし、地の画面はGoogle Earthでブラウズした世界各地の地形、にも見えます。



伊藤さんの絵画は、抽象のようであり、具象のようでもあります。
その二つの要素を交えながら見ていると、とても面白い絵画です。
リボンの色面は気流かもしれないし、上空に住まう微生物の動きかもしれません。
あるいは、音楽の旋律やリズムを表したものにも見えてきます。
地の色面も、地形にも海の中にも空にも見えます。

画廊に入って伊藤さんの絵画を見たとき、音楽やダンスを感じました。
ある時は激しく、ある時は静かに流れる音楽。
音楽は楽譜で表すことが出来ますが、それをダンスで表現したようなリボンの動き。
とっても楽しそうで、とっても優しい音楽とダンス。

音楽とダンスは、生きとし生けるものの存在を謳っています。
存在の意義や喜びが込められています。
音楽やダンスは、その進行が、時間の経過と不可分です。
時間芸術といわれる所以(ゆえん)ですが、わたしたちが時間の愉悦を味わうのは音楽やダンスを通じてです。

伊藤さんの絵画にも、そんな要素があります。
色や線や面が、止まることない時間を表らわしています。
眼からの入力が、身体に伝わり、心臓の鼓動とシンクロするような画面。
時と共に流れる生命を、感じさせる絵画です。

ご高覧よろしくお願いいたします。

2005年藍画廊個展
2006年藍画廊個展



会期

2007年5月21日(月)-26日(土)

11:30am-7:00pm(最終日6:00pm)


会場案内