藍 画 廊



伊藤幸枝展
ITO Yukie


伊藤幸枝展の展示風景です。



二つの壁面を同一画面に収めた画像です。
矩形の平面が規則正しく展示されている様子がわかります。
各壁面ごとの展示をご覧いただきます。



画廊入口から見て、正面と右側の壁面です。
正面の上段四点と右側壁面の作品サイズはF10号で、下段の四点はSM(サムホール)です。
青系の作品です。



入口横右の壁面です。
共にF10号です。
赤系の作品です。



左側の壁面です。
縦横に三点づつ並んだ展示は、すべて各F4号です。
側面の縦に三点づつ並べた展示は、すべてSMです。
青系と赤系、紫系の作品です。

以上の二十七点が画廊内の展示で、その他道路側ウィンドウに二点、芳名帳スペースに一点の展示があります。
作品は、
紙・ガッシュ・オイルパステル・カラーペンシル・ボールペンを使用しています。




左壁面の展示です。
赤と紫と青と混色(?)が一つ置きに並び、中心には白い画面の作品が展示されています。
展示の方法に工夫が凝らされ、画廊全体を一枚の白い紙とすれば、色紙をそこに配置したような感じです。
各作品には共通してリボンのような帯が描かれています。



正面壁面の作品です。
青い空で、気持ちよさそうに漂っている気体で出来たリボン。
そんな描写ですね。



今度は赤系の作品で、入口横右の展示です。
遥か上空から地上を見下ろしている様にも見えますし、地下の地層にも見えます。
果てしない時間と空間の交差を想像します。



小品です。
右側の作品には、地に細かなドットが無数描かれています。
他の作品にもこのドットは見られ、伊藤さんのモチーフの一つです。


伊藤さんは大学時代、地理学を専攻していたそうです。
美術大学の出身ではありません。
それ故の面白さが作品にはあります。
学生時代、航空写真や地層の調査で地理を学んだ経験が、無意識に作品に反映されています。

伊藤さんは、上空20,000mに存在する微生物に興味を持った、と前回の個展のコメントで語っています。
そんな上空にも微生物は存在するし、反対に地下の奥深くにも微生物は存在します。
微生物はその空間と共生し、時間と共に姿を少しづつ変えていきます。
人間も又、同じです。

この気持ち良さ気に漂うリボンは、何でしょうか。
それは、伊藤さんが心を解き放った状態かももしれません。
あるいは、生物と環境の共生する様かもしれません。
その両方かも、しれません。

画面を覆い尽くす無数のドットは、原子や電子といった最小単位の存在を想像させます。
その存在の運動は、生物と環境の境目を曖昧にします。
複雑に絡みあって、世界を構成しています。
それは「気持ち良い」という次元ではないのですが、多分伊藤さんにとっては「気持ち良い」でしょう。
わたしも、「気持ち良い」観賞です。

地理や風土を突き詰めていくと、世界の謎に直面します。
何故世界はこのように複雑に連鎖しているのか。
そういう謎ですね。
美術も又同じで、その謎に分け入るのが制作です。
伊藤さんのアプローチは、そこで一つになったのではないでしょうか。


ご高覧よろしくお願いいたします。


2005年藍画廊個展



会期


2006年5月22日(月)-5月27日(土)


11:30am-7:00pm(最終日6:00pm)


会場案内