藍 画 廊

若宮綾子展
「居間にて」
WAKAMIYA Ayako


若宮綾子展の展示風景です。










 





 

 


若宮綾子展は以上の8点で構成されるインスタレーションです。
タイトルは「untitled 」です。
素材はシナベニア、インク、パステル、 クレパスです。


〈作家コメント〉
 遠くで理不尽な出来事が横行していても、どう受け止めようか戸惑ううちに、時間ばかり過ぎて行く。
受け入れたところで、湧いてくる怒りを納める術すらない自分にがっかりするだけだから、
向き合う事をあえて避けているような。
もやもやしながらゴロンと仰向けになり天井を見上げれば、辿々しく張り巡らされた配管が
まるで自分の姿の様でした。


若宮綾子さんの新作展です。
またまたの変化ですが、さすがの構成力に(関係ないわたしも)嬉しくなってしまいます。
しかし画廊の空間全体を使った、ノビノビとした表現は気持ちが良いですね!

楠とシナベニヤにインクやパステル、クレパスで着色した枝のようなもの。
そのモチーフはコメントにあるように配管です。
水回り、電気ガス、空調などの配管が複雑に天井を這っている様子。
それは特殊な眺めではなく、住宅やビルで日常的に見られる光景です。
それは複雑な世の中のメタファー(暗喩)であり、そこで生きる自分自身の身体や心のメタファーでもあります。
なにより若宮さんは人の身体に拘って制作してきたので、それが枝のようなもの(配管)の描写に反映されていると思います。

展示は全体で一つのインスタレーション作品になっています。
インスタレーションは仮設の空間表現ですが、その内実は多様で一括りにはできません。
絵画、映像、音響、テキスト、パフォーマンスなどなど何でもありです。
その捉えどころの無さが時代の反映であり、面白さかもしれません。
今回のインスタレーション、わたしには絵画の拡張に見えました。
画廊を1枚の紙やキャンバスに見立てて、そこに自由に描く。
あるいは身体やその動き(パフォーマンス)をトレースする。
クロッキー、ドローイング、ペインティングを空間で構成する。
しかしそれは二次元の表現の拡張であり、母体となっているのはあくまで絵画です。
絵画が二次元であり、その二次元性ゆえに遠い昔から今日まで絵画が生き延びてきたような気がします。

良い意味で、若宮さんの展示は平面的、絵画的です。
つまり様相を変えた二次元の魅力に溢れているからです。
考えてみれば、アルタミラの壁画もインスタレーションでした。
壁や天井などの空間のここそこに描かれた絵は、全体として一つの世界を構成していて、しかも音楽や舞踏を伴っていたと想像されています。
その意味では、若宮さんの作品は今日的な表現であると同時に先祖返りとも言えます。
(若宮さんは美術家と同時に身体表現者であり、過去の展示にはパフォーマンスを伴ったものもありました。)

故本江邦夫さんのある著書の冒頭に絵画の二次元性についての記述があります。
それは絵画が二次元であるからこそすべての美術のベースになっている、だからこそ自分は絵画について語る、といった内容だったと記憶します。
その言葉がとても印象に残っていて、時々わたしの頭の中に浮かび上がってきます。

ご高覧よろしくお願い致します。

プライスリスト

2001年藍画廊個展
2002年藍画廊個展
2004年藍画廊個展
2005年藍画廊個展
2006年藍画廊個展
2007年藍画廊個展
2008年藍画廊個展
2010年iGallery DC『DC1』
2010年藍画廊個展
2011年iGallery DC個展
2012年藍画廊個展
2014年藍画廊個展
2015年藍画廊個展
2018年藍画廊個展
2020年iGallery DC個展
2020年藍画廊個展

 

 

会期
2022年10月24
日(月)ー10月29日(土)
11:30amー7:00pm(最終日6:00pm)

会場案内