藍 画 廊

岡典明展
森をあるく
OKA Noriaki


岡典明展
の展示風景です。




各壁面の展示です。




画廊入口から見て、左側の壁面です。




正面の壁面です。




右側の壁面です。




入口横の壁面です。

以上の23点が展示室の展示で、その他小展示室にも作品があります。
壁面の作品はアルミ板、鉄線、アクリル絵具を使用しています。
正面壁面前に展示された立体/インスタレーション作品は銅板、鉄線、テグスの使用です。
以下はピックアップした壁面作品です。
(タイトル、サイズはプライスリストをご覧下さい。)


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正面壁面前の立体/インスタレーション作品は、タイトル「森柱 」でサイズ可変です。





<作家コメント>

森をあるく    
パンデミックによって世の中は変貌した。
人との接触を避け、マスクが表情を隠し、外出時間が限定されていく。
結果、ほとんど地元を出なくなった私は、自宅から程近い森を歩くことにした。
よこはま動物園ズーラシアのすぐ隣にあるこの森では、毎年「創造と森の声」というグループによって森の環境や素材を活かした野外美術展、各種のイベントが開催されている。
かくいう私も2013年から参加し、夏の暑い盛りに現地制作、森の一部となる作品を展示している。様々な作家による作品たちは会期終了後もひっそりと森に抱かれて現在も残っている。
パンデミック以降、この通い慣れた森での活動は私にとってのひとつのオアシスとなった。
そしてなぜか人の気配の無くなった冬の森で、金属板を引きずりながら徘徊する怪しい男になった。
マスクを外し、深々と森の空気を吸い込む。寒い。準備を整えて出発。
鳥の囀りを聴きながら、作品達を横目に見ながら、落ち葉の降り積もった森を、雨上がり地面がしっとりしている森を、よく晴れて乾燥した森を、曇ってふさぎがちな森を、金属板を引きずりただただ歩く。
金属板を引っ張る紐を右手から左手に持ち替えたり、両手でもったり、後ろ向きに歩いたり、時には足早に、あるいは荒々しく、はたまたのんべんだらりと、兎にも角にも気まぐれに歩く。
ふいに思いつき、金属板の厚みを0.2mm厚くしてみる。
どんな変化があるのか皆目検討もつかないがやってみる。
そうして怪しい男が引きずった金属板の表面にできた森の痕跡が今回の作品である。
はたしてそこに森の息吹は存在するのだろうか?
同時進行で森のドローイングを試みたが、よく晴れた日にしか制作できないため、ほとんど進まず未完となってしまった。
まあ春の陽射しを浴びながら再開することにしよう。
森はすぐそこにあるのだから。
ご高覧ありがとうございます。          2021年2月吉日 岡典明 


作家コメントにもある通り、本展の作品は小さなアルミ板を引き摺りながら森を歩いて、その痕跡を基に制作されたものです。
微かな痕のある各々のアルミ板に、樹をモチーフにした鉄線が付けられていて、それが三面の壁面に展示されています。
あたかも岡さんの散策を追体験するように、わたしたちも樹々を見ながら画廊を一周することになります。
鉄線はペンチでクルクルと曲げられ、筆で描いたように軽やかなタッチで樹に変身しています。

正面壁面前の立体/インスタレーション作品は、一本の樹のクローズアップのようにも見えます。
枯れた葉が方々に落ちて、季節の移り変わりを表しています。
枯葉を養分にして、樹は天の上の方へ、上の方へ伸びていきます。
その有り様が、鉄線と銅板で巧みに表現されています。

岡さんの作品は、いつ見ても楽しい展示です。
今回も、シンプルな構成で、冷たい金属の作品なのに、穏やかな表情は変わりません。
どこか生きることにポジティブな姿勢が、自然に作品から放たれています。
有りふれたモチーフを有りふれた素材で、有りふれていない光景を描き出す。
岡さんは、稀有な美術作家だと改めて思いました。

ご高覧よろしくお願い致します。

プライスリスト1
プライスリスト2

2010年藍画廊個展
2012年藍画廊個展
2017年軌跡の庭
2020年藍画廊個展

会期

2021年2月1
日(月)ー6日(土)
11:30amー7:00pm(最終日6:00pm)

会場案内