小谷野夏木
「全てが明かされる前に」
KOYANO Natsuki


小谷野夏木展
の展示風景です。



各壁面の展示です。



画廊入口から見て、左側の壁面です。



正面の壁面です。



右側の壁面です。



入口横の壁面です。

以上の16点が展示室の展示で、その他小展示室に2点の展示があります。
右、正面、左の壁面の作品はパネル、麻布、油彩、及び鉛筆(1点のみ)を使用しています。
ドローイングの作品は紙、水彩、鉛筆を使用しています。
作品の詳細をご覧下さい。



左壁面、左端の作品です。
タイトル「浅い眠り/The Shallow Sleep」でサイズ45.5×64cmです。



左壁面、中央、右端の作品です。
左は「上方より注ぐもの/Shed from Above」で60×48.5cm、
右は「それぞれの時間/Each Time」で43×33.5cmです。



正面壁面の作品です。
「夜間の査察/Night time Inspect 」で82×91cmです。



右壁面、左端、左から2番目、3番目の作品です。
左は「原鉱の明かり/Ore’s Light 」で50×45.5cm、
中央は「青白い男の肖像/Portrait of a Pale Man」で50×41cm、
右は「分光器/Spectrometer 」で50×45.5cmです。



右壁面、右端の作品です。
「失われた事柄/Missing Matters」で82×67cmです。



入口横壁面のドローイング8点です。
タイトル「no.3」、「no.6」、「no.4」、「no.11」、「no.1」、「no.5」、「no.7」、「no.8」で、サイズ33.4×24cm〜33.4×24.2cmです。

〈作家コメント〉
何かが語り明かされる前に閉じてしまうということ。未遂に終わった話。
イメージのとば口に立って、あらゆる可能性が見渡せる位置で、
まだ影の中にあって建ち上がり、消え、そしてまた建ち上がる物ごとたちを見る。

本展の小谷野さんの絵画、色調が統一されていますが、昏(くら)いですね。
その昏さと神秘を感じさせる情景が魅力的です。
そして全体を見ると、一つの世界観が浮かび上がってきます。
それはファンタジーの流れにあるように思えますが、ベースになっているような物語は特に見受けられません。
オリジナルな、小谷野さんのイメージが作り出す世界観です。

今の世の中に、世界観の数はそれほどありません。
本来は共同体の数だけ世界観があってもよさそうなものですが、世界宗教(キリスト教、イスラム教、仏教など)の浸透と科学の発達によって均されてしまいました。
その過程で排除されたもの、吸収されたもの、日陰に追いやられたものは多数あります。
それらの世界観は劣っていたわけでもなく、権力の都合や、経済の拡大によって片隅に追いやられてしまったのです。
ファンタジーが紡ぐ物語の多くはそれらの世界観に拠っています。

芸術、美術の面白さは支配的な世界観に異議を申し立てることです。
ですから時には常識を逸脱していたり、顰蹙をかったりするのですが、それが役目ですから目くじらを立てるのは誤りです。
単一な世界観に風穴を開けて、見通しを良くして、硬直化した思考を柔軟にするのが本来の役目です。

小谷野さんの昏さには、物語の明快な起承転結に対する疑義があります。
それは始まりもなく、終わりもない、いわば未明が舞台です。
ヒューマニズム(人間中心主義)が跋扈する前の、混沌とした世界です。
生と死がメビウスの輪のように繋がり、暗がりの中で事物や生命が交錯します。
その絵画は、どこかルネ・マグリットの夢想に似ています。
どちらも意識の下の不可思議さに言及しているからです。
そして意識に揺さぶりをかけて、わたしたちの視野を広げるのも同じです。

ご高覧よろしくお願いします。

プライスリスト

2007年藍画廊個展
2010年藍画廊個展
2012年藍画廊個展
2014年藍画廊個展
2017年藍画廊個展


会期
2020年2月10日(月)ー15日(土)
11:30amー7:00pm(最終日6:00pm)

会場案内