藍 画 廊



北村康世展
日々の卵
KIATAMURA Yasuyo

北村康世展の展示風景です。



画廊入口から見た全景で、タイトル「日々の卵」、サイズは可変、マテリアルはミクストメディアです。
北村康世展はこの1点のインスタレーションで構成されています。

北村さんといえばアルミのダクトをベースにした作品が記憶に残っていますが、今回はトタンのダクト(接合部)を中心にしています。
トタンとアルミのダクトで基本の構成をして、それに日々の廃棄物を貼付したのが「日々の卵」です。
では卵はどこにあるかといえば、廃棄物を卵形にして展示してあります。



楕円の卵形に廃棄物がダクトにくっついているのがお分かりでしょうか。
この廃棄物、言い方を変えるとゴミですね。
一ヶ月分のゴミ。
北村さんはご主人と愛犬とお住まいで、その生活から排出された一ヶ月分のゴミを集め、作品の素材にしています。
ゴミの範囲は当然広範囲で、食材の容器からペットボトル、ティッシュやドッグフードの空箱、宅配便の伝票まで多岐に渡ります。



しかし見事にジャンクですね〜。
トタンとアルミのダクトとゴミの組み合わせが有機的に結びついて、独特の世界が開示されています。
上の画像、中央付近に集中して見られるのはトイレットペーパーの芯ですね。



この卵はプラスティックが中心になっているようです。
洗剤の空ボトルでしょうか。
向こう側の卵にはビールの空缶が見えます。



これは食材関係の卵。
スーパーの食品売場でよく見かけますね。



これはドラッグストア関係のゴミとラップやフォイルで形成された卵。
ゴミはどれもきれいに洗浄されていて、無臭です。


〈作家コメント〉
日々のたまご

まいにち まいにち から生まれる
まいにち まいにち から育つ


北村さんの作品、大量生産、大量消費、大量廃棄の現代社会を告発しているのでしょうか。
どうも、違うようです。
その、ある意味で致し方ない現実を踏まえて、異なる思考をしています。

まいにち まいにち 生まれるゴミ。
そのゴミが生まれる過程には、時間があります。
北村さんと、ご主人と、愛犬のかけがえの無い日常の時間があります。
その時間をゴミに託して、カプセルのようにたまごに収めたのが今回の作品です。

それは、誤解を恐れずに言えば、夢想のようなものです。
たまごは、どのように孵(かえ)るか。
それは誰にも分かりません。
北村さんにも分からないでしょう。
でも、たまごは孵る。
それを信じて、北村さんは作品を作っていると思います。

うねるような金属が放つ光と卵状に貼付された日常のゴミ。
異様な光景です。
でも、ここには不思議な落ち着きがある。
それは北村さんのたまごに対する愛情が、作品全体に反映されているからでしょう。

ご高覧よろしくお願い致します。

2002年藍画廊個展
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2006年藍画廊個展
2007年藍画廊個展

 

会期

2012年5月28日(月)ー6月2日(土)

11:30amー7:00pm(最終日2:00pm)



会場案内