藍 画 廊


キタムラヤスヨ展 食卵サバイバル
KITAMURA Yasuyo


キタムラヤスヨ展の展示風景です。



展示作品は一点(インスタレーション)で、上の画像は、画廊入口から見て正面と右側壁面方向です。
全体のサイズは4750(W)×1640(H)mmです。
使用しているのは、布・アルミダクト・卵で、卵は彩色されています。
道路側のガラス戸(入口)からの撮影もご覧いただきます。



前回と同じく、建築用材料のアルミダクトを大量に使用したインスタレーションです。
今回は布の使用が少量で、赤黄系に着色した卵がダクトから大量に排出(?)されています。
卵は増殖しているように見えますね。

本展のタイトルは「食卵サバイバル」です。
その意味について、キタムラさんにお話を聞いてみました。

卵は生命の原初の形態で、比喩的にはものごとの始まりを示します。
食卵(鶏卵)は栄養価が高く、以前は高価な食品でした。
養鶏施設の大規模化、工業化で大量生産が可能になり、食卵は安価かつ安定した価格で供給されるようになりました。
物価の優等生といわれているのはご存知かと思います。

キタムラさんは、食卵の立場で考えることから作品制作にとりかかりました。
大量に生まれて(生まされて)、それをぜ〜んぶ人間に食べられてしまう食卵の立場です。
「食卵の怒り」、ですね。

食卵は赤黄色系に着色されていますが、怒りでそのような色になっているわけではありません。
生命を表す色として、キタムラさんが選んだ色です。
つまり、食卵は己の生命としての存在を色で主張しているのです。

お話を聞いてわたしが考えてのは、人間と食の関係です。
人間と食の有機的関係は切断されてから久しくなります。
今では、食の生産、加工と人間の関係は複雑怪奇で、市場原理が人間の上に君臨しています。
安い生産地、安い人件費を求めて、供給者は世界中を駆け巡っています。
食は工業化され、その恩恵で安定した安い価格で食を手に入れることができます。
一方、BSEに代表される歯止めの利かないリスクも背負うことになりました。

そして、それ以上に問題となるのは、食はもともと生命体である事実と人間との乖離です。
人間も生命体であり、人間と食の間には深い関係がありました。
そのことを喚起させるのが、本展の作品の食卵の色だと思います。


作品のクローズアップです。

卵の数は約1500あるそうです。
その卵一つ一つが着色されています。
色のイメージの基には、生命=太陽があります。


ご高覧よろしくお願いいたします。

2002年藍画廊個展
2003年藍画廊個展


会期

2005年1月31日(月)-2月5日(土)


11:30am-7:00pm(最終日6:00pm)


会場案内