藍 画 廊

Coil vol.8 メビウス
女子美術大学大学院 美術研究科博士前期過程美術専攻洋画研究領域1年
太田晴子 若松はるか
OHTA Haruko/WAKAMATSU Haruka

〈 Coil 展とは 〉
この度、女子美術大学大学院博士前期課程1 年の学生8 名による展覧会を開催する運びとなりました。
Coil 展と名付けられた学外での展覧会は、今年で8 回目を迎えます。
そして、今年のCoil 展の出品メンバーは、総勢8 名です。
今回の展示に関してこの「8」をキーワードに出来ないかと考えるようになりました。
そこで、8 を数字としてではなく一つの造形として捉え、∞や、メビウスの輪という単語についてそれぞれのメンバーがその意味について考えました。
∞は無限大、表裏一体といった様々な意味合いを内包することから、これを受けて我々は展覧会全体のタイトルを「メビウス」とし、3 カ所のギャラリーを拠点として、それぞれが、自分自身の「メビウス観」を展開します。
ご高覧頂ければ幸いです。

Coil vol.8の詳細

Coil vol.8の太田晴子さん、若松はるかさんの藍画廊展示風景をご覧下さい。



各壁面ごとの展示をご覧下さい。



画廊入口から見て右側壁面、若松はるかさんの展示です。



正面壁面、若松はるかさんの展示です。



右側壁面、太田晴子さんの展示です。



入口横壁面、太田晴子さんの展示です。

以上、若松はるかさんの作品1点、太田晴子さんの作品3点が展示室の展示で、その他小展示室に太田晴子さん作品1点が展示されています。
作品の詳細をご覧下さい。









若松はるかさんの作品「 どこにでも宿る愛」の部分のピックアップです。
作品は紙にプリントした詩と詩集、ドローイング、ミクストメディアによるオブジェ等によるインスタレーションです。
サイズは可変で、左壁面と正面壁面に連続して展開されています。



右壁面、左端の太田晴子さんの作品です。
「駅」(キャンバス、油彩)で1940×1620mmです。



右壁面、右端の太田晴子さんの作品です。
「空港」(キャンバス、油彩)で455×275mmです。



入口横壁面の太田晴子さんの作品です。
「言の葉を選り出し」(キャンバス、油彩)で530×410mmです。



小展示室の太田晴子さんの作品です。
{腕」(キャンバス、油彩)で170×170mmです。


若松はるかさんの作品「 どこにでも宿る愛」は言葉(詩)とドローイング、オブジェ(レリーフ)によるインスタレーションです。
美術作品に言葉を用いるのは珍しくありませんが、詩を全面に押し出すスタイルは稀です。
ドローイング、オブジェ(レリーフ)との関係は密で一体となった作品ですが、(個人的には)詩に一層の興味が湧きました。
詩の中で印象深かった一編を引用、転載します。

未来は既に死んでいた

一体どれほどの時間を 私は私自身のために使ってきたのか
私の浪費した歳月は 果たして私の生きてきた歳月といえるのだろうか
際限のない疑惑
際限のない落胆
際限のない歓び
際限のない退屈
そういったものに長らく足を浸けていると
己を生きる時間を手繰り寄せるのが困難になっていく

今は 既になくなりつつある


言葉は溢れ出し、詩となって壁面に貼付されています。
言葉そのものと、それがプリントされた紙は美術的表現としてドローイングやオブジェ(レリーフ)とミキシングされ、分かちがたく存在しています。
それは「生」をテーマにしているように見え、異なる形式が相互に共振してライブ(生)な場を形成しています。

太田晴子さんの作品はオーソドックスな油彩です。
日常のさりげない風景や仕草をモチーフにしていて、静かな雰囲気を漂わせています。
空港のざわめきを遠くから描写した「空港」は、横長の矩形とモノトーンに近い色使いが巧みです。
下部の暗部が画面に奥行きを感じさせ、ある種の感情を惹き起します。

小展示室の正方形の小品も構図の面白さで光ります。
対角線ような腕のフォルムと、これもモノトーンのような微妙な色彩。
何れも、鑑賞者の胸の奥に潜んでいた感情に触れる密やかな絵画です。

ご高覧よろしくお願い致します。

作品配置図

Coil展 vol.4 「指先から宙」 2013年藍画廊
Coil展 vol.6 「陽炎、稲妻、水の月」2015年藍画廊
Coil展 vol.7 「ふいにくるもの」2016年藍画廊

会期

2017年3月6日(月)ー11日(土)
11:30amー7:00pm(最終日6:00pm)


会場案内