藍 画 廊


熊谷美奈子
KUMAGAI Minako


熊谷美奈子展の展示風景です。



角度を変えた展示風景です。



以上の6点が展示室の展示で、その他小展示室に3点、事務室壁面に1点の展示があります。
作品を1点ずつご覧下さい。



床面左側の作品です。
タイトル「Three I」(厚紙、自作手漉和紙、アクリル、胡粉、グラファイトクレヨン)でサイズ33×220×33cm(可変)です。



床面奥の作品です。
「Three II」(厚紙、自作手漉和紙、アクリル、胡粉、樹脂系塗料)で33×220×33cm(可変)です。



床面右側の作品です。
「Paper Bomb」(厚紙、和紙-自作含む-、楮繊維、楮樹皮、胡粉、アクリル、柿渋)で27x67x27cmです。



右壁面の作品です。
「Gold 2015-01 (Kent)」(ケント紙・アクリル)で17x13.5x13.5cmです。



入口横壁面、左端と右端の作品です。
左は「Three II (small)」(ケント紙・アクリル)で5x38x5cm(可変)です。
右は「Papers 2015-01 (kent)」(ケント紙、自作手漉和紙、楮繊維、楮樹皮、胡粉、柿渋、アクリル)で8x36x8cmです。

〈作家コメント〉

自作の手漉き和紙などを使用した立体作品で、ハリボテ状のためどれもとても軽量です。
外見と本質のギャップ、似た形の全く違うもの(卵と手榴弾他)などに興味をもちながら、制作を続けています。

熊谷さんの作品は立体ですが、従来の彫刻とは趣を異にしています。
台座もなければ、展示方法も自由度が高く、画廊の空間を活かしながら作品を際立たせています。
今回は床面に作品を集中させ、メインの壁面には小品1点だけをポンと置いています。
空いた壁面が作品の背景になっていて、スッキリと端正にまとまっています。

作品は一見すると金属の彫刻、木彫、石彫に見えます。
ところが内実は紙という、「驚き」を作品に内包しています。
この騙し(?)が功を奏するには、質感の出来如何が大きく関わっています。
その点、熊谷さんの作品は初期から一貫して完成度が高く、破綻がありません。
重くて軽い、独特の重量感が秀でています。

作品の形状も材質と同じく、相反するものを表しています。
例えば、卵と手榴弾、種子と弾丸といった具合です。
これは物事が一面だけでは成立していないことを表しています。
物事には、必ず二面が、それも正反対、対立するモノが含まれていることを意味しています。

これは相当に東洋的な思想、考えのように思えます。
モダーンな立体作品という表象とは裏腹に、伝統的な死生観や世界観が含まれているように思えます。
そのことが作品に奥行きを与え、見る者の視覚と思索が一体になります。

フェイク(偽物)は、ある意味芸術作品にはタブーであり、異端です。
作者は金属、木、石の本質に関わった表現を求められるからです。
しかし熊谷さんはそんなルールとは無縁で、自由にノビノビと制作しています。
作品も開放的で屈託がありません。
これは意外と難しいことで、それを軽々とクリア(したように見える)していることはステキです。
そして、本物とフェイクという二分を超えて、世界の成立ちに迫っています。
いつものように、手には紙の武器を携えて。

ご高覧よろしくお願い致します。

プライスリスト

2004年藍画廊個展
2005年藍画廊個展
2008年藍画廊個展
2009年藍画廊個展
2011年藍画廊個展
2012年藍画廊個展
2014年藍画廊個展

作家Webサイト


会期

2016年10月31日(月)ー11月5日(土)
11:30amー7:00pm(最終日6:00pm)


会場案内