藍 画 廊



熊谷美奈子展
KUMAGAI Minako


熊谷美奈子展の展示風景です。



各壁面の展示をご覧下さい。



画廊入口から見て、左側の壁面です。
左から、タイトル「Copper 2011-03」で、サイズ21(H)×100(W)×21(D)cm、「Gold 2011-01」で30×23×23です。



正面の壁面です。
「Silver 2011-01」で103×20×20です。



右側の壁面です。
左から、「Two 2011」で65×11×12、「Silver 2011-1」で41×7×3.5、「部分 2011(Graphite)」で42×7.5×3.5、「部分 2011(Gold)」で41.5×7.5×3.5、「部分 2011(Copper)」で41.5×7.5×3.5です。



入口横の壁面です。
左から、「Copper 2011-02」で49×13×13、「Silver egg」で10×7.5×8.5です。

以上の10点が展示室の展示で、その他小展示室に2点の展示があります。
作品は厚紙・和紙・アクリル絵具・グラファイトクレヨン・合成樹脂塗料などを使用しています。
(作品によって若干の使用画材が異なっています。)


左壁面の「Copper 2011-03」です。
Copperとは銅ですが、熊谷さんの作品を過去にご覧になった方には、この作品が何で出来ているか分かります。
初めて見た人は、この金属的な輝きと、作品の持つ質量感との微妙な相違に戸惑うでしょう。
そう、この作品は紙で出来ていて、実はとても軽いものなのです。
それを最初に知った時の軽いショックは、今でも心地良く憶えています。



壁面の角に展示された「Gold 2011-01」です。
こちらはGoldで金ですが、これも美しいカタチをしています。
上部が凹んでいるのは、上からグッと押されたイメージを表しています。



正面壁面の「Silver 2011-01」です。
楕円の連鎖のような、熊谷さん独自のカタチです。
種子を連想させるカタチですね。

前回同様、作品には紙に金、銀、銅の色がペイントされていますが、これは合成樹脂塗料を使っています。
前回はアクリル絵具のみでしたので、質感が微妙に違いっています。
今回の方がブライトで、強い輝きを持っています。



右壁面の「Two 2011」です。
熊谷作品の原点ともいえるグラファイトクレヨン(鉛筆の芯のクレヨン)を使用した作品です。



同じく右壁面の連作、「部分 2011(Graphite)」、「部分 2011(Gold)」、「部分 2011(Copper)」です。



入口横壁面の「Copper 2011-02」です。
角に展示された「Gold 2011-01」と同じように、上部が凹んでいます。
アフリカの太鼓を連想させるようなカタチです。



丁寧に、丁寧に作られたカタチと、輝く光を放つ作品。
その端正なカタチの美しさと、(紙の軽やかさを内に秘めた)金属的な輝きの麗しさ。
展示も適切で無駄がなく、とても見やすい配置になっています。

熊谷さんの作り出すカタチは、原初のカタチを想像させます。
それは、種子や莢(さや)や卵などの、何かを生み出すカタチです。
その一方で、かつて紙爆弾をモチーフに作品を制作したことがあるように、生と正反対の死を想像させるカタチも併せ持っています。
見方によっては、砲弾や銃弾などのカタチに似ているからです。

熊谷さんの作品は立体ですが、その構成物が紙であり、それにペイントされていることから、絵画の要素もあります。
(紙の立体、彫刻は存在しますが、この様な形式でペイントされたものはありません。)
重い金属質と軽い紙が一つの作品に同居しているように、立体と絵画は融け合って、一つの作品と為っています。

これは以前も書いたことですが、熊谷さんの作品には、相反するものが分かちがたく結びついています。
そしてその結びつき方が、いたく自然で、無理がありません。
そのことに軽いショックと驚きを覚え、感嘆します。
しかしながら、作品の成り立ち以上に興味深いのは、作品と一体となった思想、考え方です。
つまりは、作品の核です。

ここで表されているのは、世界とは何かという問いです。
その問いへの真摯で自由なアプローチです。
わたしが感心するのは、その真摯で自由なアプローチの姿勢です。
その姿勢が、作品と画廊空間にキリッとした緊張感と、その正反対の開放感を生んでいると思います。

完成度の高い作品です。
作品は自閉せず、世界に開かれています。
貴方に見られることによって、作品はますますその輝きを増すことと思います。

ご高覧よろしくお願い致します。


2004年藍画廊個展
2005年藍画廊個展
2008年藍画廊個展
2009年藍画廊個展

作家Webサイト


会期

2011年3月7日(月)-3月12日(土)

11:30amー7:00pm(最終日6:00pm)


会場案内