藍 画 廊


西川美穂・吉田絢乃展
 NISHIKAWA Miho/YOSHIDA Ayano

西川美穂・吉田絢乃展の展示風景です。



西川美穂さんと吉田絢乃さんは多摩美術大学の大学院2年に在学中です。
本展は西川さんと吉田さんの二人展になります。
各壁面の展示をご覧下さい。



画廊入口から見て、左側の壁面です。
西川美穂さんの作品です。
7点の展示ですが、組作品で「deep」というタイトルが付けられています。
各作品を左から順にご紹介しますが、タイトルは中央の作品が「I」で、その他はuntitledです。
左からサイズ、31.8(H)×41(W)(F6)、27.3×22(F3)、22.7×15.8(SM)、41×31.8(F6)、22.7×15.8(SM)、22.7×15.8(SM)、22×27.3(F3)です。
使用画材は綿布・油彩・ダンマルで、「I」のみ綿布・油彩・岩絵具です。



正面の壁面です。
西川美穂さんの作品です。
「イマスカ」で162×162(S100)でキャンバス・油彩です。



右側の壁面です。
吉田絢乃さんの作品です。
左から「堆積するひと」で72.7×91(F30)、「定着するひと」で45.5×38(F8)、「爪繰るひと」で45.5×53(F10)、「脱皮するひと」で53×45.5(F10)です。



入口横の壁面です。
吉田絢乃さんの作品です。
「復誦するひと」で194×130.3(F120)です。
吉田さんの作品はすべてキャンバス・アクリル・ジェッソを使用しています。

以上の13点が展示室の展示で、その他小展示室に西川さんの小品が1点展示されています。





7点で構成された組作品、「deep」です。

<作家コメント>
私達は見えるモノと見えないモノの中で生活をしている。
人の感情は見る事が出来ない。私達は他人の気持ちを自分なりに解釈する事で生活を成り立たせている。



正面壁面の大作「イマスカ」です。
布に隠れたモノは何でしょうか。
人?、あるいは人に似せた何かでしょうか。


西川さんの作品、見えるモノと見えないモノの境界を、鋭くそしてさりげなく描いています。
わたしたちの生活は一見見通しが良い様に見えますが、その実、推し量るという行為で成り立っています。
人の表情なども複雑で、すべてが見えている通りではありません。
内面は又別のところにあって、表情を作るということもしがちです。

生と死。
これも目にすることができません。
しかしそれらが見えているようにする事で、生活を成り立たせています。
そのような生活の断面を描くことで、西川さんはリアルな日常の実態を開示しています。

西川さんの視線の有り様は独特で、クールに現代という時代を表しています。
ちょっと突き放したような、背景を省略した、被写体との距離感。
赤をポイントにした色使い。
deepな絵を、描く人です。




右壁面の吉田絢乃さんの「堆積するひと」です。
吉田さんの作品制作は独自で、ジェッソを固めて半立体(レリーフ)のようにして、キャンバスに貼付けています。
この作品は手帳をモチーフにしたもので、文字や数字が無数に描かれています。




「爪繰るひと」です。
爪繰るとは爪先、又は指先で繰ることを指します。
その通り、指紋が付いた画面で、人の顔がうっすらと浮かび上がっています。



「脱皮するひと」です。
何の形に見えますか?
実はこれ、パーカーを脱いだ姿を描写したものです。
パーカーにはバーコードが幾つも描かれています。



入口横壁面の大作、「復誦するひと」です。
これは新聞がモチーフ。
そしてやはり、人の顔がうっすらと浮かんでいますね。

<作家コメント>
死んでいるわけでもなく、その動物の形が完全に残っていて、そして生きていないことで脱皮した抜け殻は奇妙な存在感を放ちます。
私が制作するのは、ひとの脱皮殻です。


ひとは脱皮する。
この着眼点が吉田さんの作品の核心です。
そしてその抜け殻を、実際に抜け殻として制作している点が、何ともユニークです。

「堆積するひと」。
これは手帳をモチーフにした作品です。
わたしたちは手帳に予定や忘備録を記します。
昔の手帳を引っ張り出してみましょう。
そこにあるのは、見事な抜け殻です。
あの時のわたしという、ひとの脱皮殻です。

洋服もそうです。
毎日のように愛用した洋服。
それはもう半分わたし自身のようなもので、すでにそうではない。
いってみれば、そう、脱皮殻です。

ひとの脱皮殻にはいろいろあります。
吉田さんはそこに細かな文字や記号や数字を刻印しています。
その脱皮殻の記憶を記しているかのように。

ひとと事物や情報との関係。
ひとはそれらを消費して脱皮します。
それは成長と言えるかどうか分かりませんが、何となく愛おしさを感じるものには違いありません。

ご高覧よろしくお願い致します。

 

会期

2012年5月21日(月)ー5月26日(土)

11:30amー7:00pm(最終日6:00pm)



会場案内