藍 画 廊



鈴木敦子展
SUZUKI Atsuko


2010年度最初の展覧会として、鈴木敦子展を開催致します。
本年も藍画廊をよろしくお願いいたします。

鈴木敦子展の展示風景です。



画廊入口から見て、左側と正面の壁面です。
左から、作品タイトル「紅 ・ 牡 丹」(キャンバス ・ 鉛筆 ・ 油彩)で、作品サイズ72.8(H)× 72.8(W)cm、「白 ・ 牡 丹」(キャンバス ・ アクリルガッシュ ・ 鉛筆 ・ 油彩)で72.8 × 72.8、「椿」(木 ・ レーヨン布 ・ ジョーゼット ・ アクリルガッシュ ・ 油彩)で45 × 45です。



右側の壁面です。
左から「広 が る」(キャンバス ・ 色鉛筆 ・ 油彩)で22.2 × 16.4、「し み る」(キャンバス ・ 色鉛筆 ・ 油彩)で27.5 × 19.3、「間」(レーヨン布・ジョーゼット・アクリルガッシュ・墨・ジェッソ・油彩)で16.1 × 22.7、「静 ま る」(綿布・レーヨン布 ・アクリルガッシュ・墨・ジェッソ・油彩)で27.5 × 22.2、「一 雨」(キャンバス ・ オイルパステル ・ 油彩)で18.1 × 18.3、「雪 帽 子」(綿布 ・ 油彩)で27.6 × 16.1、「ゆ ら め く」(キャンバス ・ オイルパステル ・ 油彩)で22.7 × 23.2、「雪 花」(キャンバス ・ ジェッソ ・ 油彩)で27.4 × 22.4です。



入口横の壁面です。
左から「初 雪」(キャンバス ・ 白亜地・油彩)で45.6 × 61、「雪」(キャンバス ・ 油彩)で53 × 33.6、「石 畳」(木 ・ 綿布 ・ ジョーゼット ・ アクリルガッシュ ・ 墨 ・ 油彩)で45.5 × 45.2です。

以上の14点が展示室の展示で、その他小展示室に2点の展示があります。



左壁面の「紅 ・ 牡 丹」です。
鮮やかな紅の牡丹で、画面に散っている白い点は雪を表しています。
牡丹は五月ごろの開花なので、これは寒牡丹かもしれません。
シンプルな描画ですが、内容は大きな絵です。



「紅 ・ 牡 丹」と対になっている、「白 ・ 牡 丹」です。
こちらは縞(ストライプ)を活かした白い牡丹の図です。
新年(正月)らしい紅白の作品ですが、新年が再生(死から生への)であることを想像させるスケールの大きな連作です。



広い正面壁面に一点だけ展示された「椿」です。
力のある作品です。
これも赤と白の椿が配されています。
よく見ると、花弁の輪郭だけのものもあります。
着物の文様のような美しいパターンですが、正方形の画面にちりばめられた花には、生命(いのち)を感じます。



右壁面の二点です。
左は「広 が る」で、気持ちの良い、緩やかさが伝わってくる作品です。
キャンバス ・ 色鉛筆 ・ 油彩を使用していますが、部分で使用している色鉛筆の効果が巧みです。

右は「間」で、キャンバスの表面に半透明のジョーゼットが張ってあります。
その下の絵とジョーゼットに描いた縞が重なって、平面に不思議な奥行きを作っています。
布にこだわりを持つ、鈴木さんらしい作品。



同じく右壁面の二点です。
左は「静 ま る」で、右は「雪 帽 子」。
二つの作品をじっと見ていると、聴こえない音がきこえてきます。
その音は、耳では聴えません。
ぼたん雪(雪帽子)の降る音のように、眼や身体で聴く音です。



入口横壁面の「初 雪」です。
線と点の、色と構図が見事です。
画面の中で、季節で初めての雪が降っています。
その光景と心象が、絵画という優れた方法で、描かれています。



最後も「雪」です。
雪は白いのですが、背景の曇空も、雪に負けず白い。
しかし雪には輝きがあります。
それが一枚の絵に、何の装飾もなく、美しく表現されています。
技術とは、それが目に付いたら野暮です。
この作品のように、背後で支えるのが、真の技術だと思います。


鈴木敦子さんの過去の作品を見れば、幾つかの特色がみつかります。
モノクロームに近い色使いであること、布や糸を画面に織り込むこと、水に関するモチーフが多いこと。
そして、季節に合わせて制作、展示していること。

今回は正月の展示なので、冬の雪を描いた作品が多く出品されています。
これは単に季節を合わせて、目を楽しませているだけではありません。
そこには四季という変化、時間そのもののが表現されています。
そしてそれは、自然と生命(いのち)の時間です。
植物や雨や雪を通して、生命が巡っていることが描かれています。

鈴木さんのモノクロームは、地味ではありません。
派手という言葉は似合いませんが、華やか、きらびやかな一面があります。
モノクロームのニュアンスの深さは、文様で巧みに表しています。
文様、パターンも、鈴木さんの作品の特徴です。

布や糸を画面に織り込む手法は、今回、小展示室の展示に限定されています。
展示室の作品では、その特色を封印しています。
しかし布に対するこだわりは健在で、半透明のジョーゼットで多層的な表現を試みています。

多くの素材(画材)を、作品の適材適所で使用する技術は目を見張るものがあります。
しかも、そういった技術、技法は、表現の必要性と離れることはありません。
あえていえば鈴木さんはテクニシャンですが、それを表で見せない姿勢を保っています。
それが作品の端正さや、親しみやすさに繋がっています。

雪や雨などの水に関するモチーフが多いこと。
これは季節に合わせて制作することと通じています。
そこで表現されているのは、変化(時の流れ)です。
自然や生命が基盤とする、大きな流れです。
その一瞬を切り取って、鈴木さんは、わたしたちに自然や生命の意味を絵画として表現しています。

ご高覧よろしくお願いいたします。

2006年藍画廊個展
2007年藍画廊個展
新世代への視点2008/鈴木敦子展



会期

2010年1月12日(月)-1月23日(土)

日曜休廊

11:30am-7:00pm(最終日6:00pm)


会場案内