藍 画 廊



伊東三恵子展
「人間模様」
ITO Mieko



伊東三恵子展の展示風景です。



各壁面の展示をご覧下さい。



画廊入口から見て、左側と正面の壁面です。
左から、作品サイズ728(H)×1030(W)cm(B1)でパネルに油彩、728×1030 (B1)でパネルに油彩、728×1030 (B1)でパネルに油彩、1167×910 (F50)でキャンバスに油彩です。



右側の壁面です。
左から、作品サイズ728×1030 (B1)でパネルに油彩、728×1030 (B1)でパネルに油彩、1167×910 (F50)でキャンバスに油彩です。



入口横の壁面です。
作品サイズ1620×1120 (P100)で、キャンバスに油彩です。

以上の八点が展示室の展示で、その他小展示室に一点の展示があります。



左壁面は青の連作ですが、その左端の作品です。
展覧会のサブタイトルは「人間模様」ですが、上から下に延びる太い線は、人間のように見えます。
そう見てみれば、同じ人間がいないように、太さや色合いもそれぞれ異なっています。
生き様や歩みも同じで、人によって異なっているようです。
太い線の間にある多くの細い線が、画面の表情を豊かにしています。



正面壁面の作品です。
色、構図が見事な作品で、広い壁面に一点だけの展示も正解です。
個人的には、展示作品中ベストと思います。
縦の細く擦れた白い線と、横の黒い線の交じり具体が、とても自然で素直です。
古典的な紋様をモダンに展開したようにも見える、秀作。



右壁面の作品ですが、展示の中では文字通り異色な作品。
異なっているのは色だけではなくて、横のストライプもそうです。
ストライプの中で目立つのは、中央付近の赤い二本のライン。
この二本の細いラインが、作品を決定しています。



入口横壁面の作品です。
楕円や繭のような形のドローが重ねなられています。
まさに人間模様を表していますが、純粋に色と形の画面として見ても、面白い作品です。
太いラインの三つの楕円が、わたしに何かを語りかけています。



小展示室の作品で、594×841cm(A1)でパネルに油彩です。
茄子のような形が描かれていますが、他の作品とのコントラストに興味が行きます。
例えば、上の入口横壁面の作品と見比べて下さい。
展示作品のプロトタイプ(原型)のようでいて、もしかしたら最終形態かもしれません。


サブタイトルの「人間模様」、昔どこかで聞いた言葉だと思ってWebで調べると、市川崑が丹羽文雄の小説を映画化したタイトルがヒットしました。
1949年の制作ですから、60年も前の映画です。
当然伊東さんは生まれていませんが、伊東さんの作品にはレトロな味があります。
一昔前の都会が持っていた、品の良さがあります。
上品な抽象画と形容すれば、誤解を生むかもしれませんが、具象全盛の時代に、貴重な表現だと思います。
この形式を続けて欲しいと思います。

伊東さんが描いているのは、サブタイトル通り、人間の模様です。
多様な人間の関係と交叉が、等身大で描かれています。
誇張もなければ矮小もない、素直な表現ですが、人間模様の機微はしっかりと表されています。
表面だけでは知ることのできない、微妙なおもむきや事情が描かれています。

人が生きるということは、多分、辛いことです。
その辛さと向き合って、何とか生きていくのが、人の一生です。
そういうことが、伊東さんの作品には、肯定的に描かれています。
力みもなく、思わせぶりもなく、強いることもなく、描かれています。
その姿勢と肯定的な視線によって、辛さの中に、曰く言い難い、親しみが生まれています。

ご高覧よろしくお願いいたします。


2005年藍画廊個展
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2008年藍画廊個展



会期

2009年5月25日(月)-5月30日(土)

11:30am-7:00pm(最終日6:00pm)


会場案内