藍 画 廊



伊東三恵子展
ITO Mieko


伊東三恵子展の展示風景です。


画廊入口から見て、正面と右側の壁面です。

五点とも同サイズで、455(H)×503(W)mmです。
キャンバスに油彩を使用しています。
入口横右の壁面です。

530×650mmで、キャンバスに油彩と木炭を使用しています。
左側の壁面です。

左の二点は、530×650mmで、キャンバスに油彩と木炭、
右は595×840mmで、パネルに油彩と木炭を使用しています。

左壁面の二点からご案内いたします。



青と赤の色面に、白抜きで繭のような形が二つ。
前回個展も似たような弓形の弧が描かれていましたが、雰囲気が大分違います。
前回は一つの弧だけの作品もありましたが、今回は全点二つ描かれています。
形状も、シャープな弧ではなく、丸みを帯びた繭のようなフォルム。



正面壁面の四点です。
大きい繭と小さな繭。
その関係を表しているようにも見えるし、ダンスをしているようにも見える。
空間は穏やかで、どことなく楽しそうです。



ちょっと後戻りして、左壁面のコーナーの作品を見てみましょう。
繭(と勝手に形容しているが)の原形でしょうか。
写実的ですね。
動きも上の作品に比べると静かです。
もしこの作品がプロトタイプ(原形)だとしたら、その変化は興味深いものがあります。




入口横右壁面の作品です。
今度は繭ではなく、人の形に見えてきました。
向き合っている、二人です。
大きな人が男で、小さな人が女でしょうか。
そうとは限りませんね。
その逆もあるし、大人と子供、男と男、女と女かもしれません。


二つの形。
それが何であるかは、見る者の自由です。
繭であっても良いし、人であっても良い。
昔懐かしいお菓子のゼリーの形でもかまいません。

見方を変えると、文字に見えてきたりします。
「い」の字があったり、「こ」の字があったり、まだ名付けようもない文字もあります。
文字は象形文字のようで、図が何らかの意味を持っています。
単なる記号には見えません。

二つの形。
それは、関係やコミュニケーションを描いたものかもしれません。
関係やコミュニケーションの基本は一対一です。
つまり、二つの間で行われる情報や感情の交換です。
それが共同生活の基礎で、社会を成り立たせています。

シンプルな色面と形。
そこから拡がってくるのは、穏やかな空間です。
余計なものを削ぎ落として、(いわば)裸になった何かと何かが、緩やかな空間を作っている。
角が取れて、ギスギスしたものが何もない。
こんな関係やコミュニケーションに、誰もが憧れます。
なぜわたし達は、複雑で鬱陶しい関係やコミュニケーションを作り上げるのでしょうか。
もっとシンプルで、しかも風通しを良くしないのでしょうか。
伊東さんの絵画には、そんな問いかけがあるように思えます。



道路側ウィンドウの作品(595×840mm、パネルに油彩、木炭)です。
二つの形、とっても素敵です。

ご高覧よろしくお願いいたします。

2005年藍画廊個展
2006年藍画廊個展



会期

2007年5月14日(月)-19日(土)

11:30am-7:00pm(最終日6:00pm)


会場案内