藍 画 廊



川田夏子展
KAWADA Natsuko


川田夏子展の展示風景です。



画廊入口から見て、正面と右側の壁面です。
左から、作品タイトル「 水は茫茫 花は紅 01 」で、作品サイズ1303(H)×970(W)mm、
「 緑青 No.3 」で、273×220mm、「 岱赭 No.4 」で、273×220mm、「 鳥 飛ぶ 1」で、1167×910mmです。



入口横右の壁面です。
左から、「 鳥 飛ぶ(月)」で、530×455mm、「 水群緑と利休鼡 NO.1」で、158×227mm、「 鳥 飛ぶ(太陽)」で、530×410mmです。



左側の壁面です。
左から、「 水は茫茫 花は紅 03 」で、500×606mm、「 水は茫茫 花は紅 02 」で、1303×970mm、「 鳥 飛ぶ(藤紫)」で、273×455mmです。

以上の十点が画廊内の展示で、その他道路側ウィンドウに一点、芳名帳スペースに一点の展示があります。
作品はすべて、雲肌麻紙に岩絵具、墨、胡粉を使用しています。



左壁面の「 水は茫茫 花は紅 03 」です。
茫茫とは、広々としてはるかなるさま、ぼんやりとしてはっきりしない状態を意味します。
その様な水に、紅の花。
上の画像では分り難いと思いますので、部分を拡大してみます。



如何ですか。
ぼんやりとしていますが、水は透き通っていますね。
その水の世界で、紅の花が遊んでいます。



同じく左壁面の「 水は茫茫 花は紅 02 」です。
これも部分を拡大してみましょう。



同じ「 水は茫茫 花は紅」シリーズですが、水のシチュエーションが異なり、紅の花の遊び方も違います。
川田さんの作品はご覧のように、作品との距離を変えながら見ると、より楽しめます。



左壁面の「 鳥 飛ぶ(藤紫)」です。
「 鳥 飛ぶ 」もシリーズですが、藤紫は色の名前です。
藤紫は、藤色より青みが弱く、紫みの強い色です。



正面壁面の「 水は茫茫 花は紅 01 」です。



正面壁面の 「 緑青 No.3 」と右壁面の「 鳥 飛ぶ 1」です。



入口横右壁面の 「 鳥 飛ぶ(月)」と「 鳥 飛ぶ(太陽)」です。
他の淡い色彩の作品と異なり、モノクロームの比較的コントラストの強い作品です。
この二点は、(月)と(太陽)で対になっていますね。


川田さんの作品、茫茫とした中に、色と形が遊んでいます。
茫茫は水や空の有り様に見え、遊ぶ色や形は、花や鳥の姿に見えます。
わたしにはそう見えますが、必ずしもそう見える必要はありません。
どのように見えるかは、見る人の自由です。

しかし、画面には具体的な風景が残っていると思います。
もう少しで模様になりそうですが、その手前で踏み止まっています。
それが川田さんの作品の妙で、結果として独自の空間を作っています。
わたしの眼が魅せられているのは、その空間の妙ではないかと思います。

限りなく模様に近づきながら、模様にはなっていない。
しかし、川田さんの作品は模様を意識している気もします。
模様(工芸)の持っている自然観や自然描写を取り込もうとしているのかもしれません。
近代絵画の写生(リアリズム)とは逆の道に、川田さんは進んでいると思います。

それは、画面の光の存在にもいえます。
喩えてみれば、障子越しのやわらかな陽射しのような光が、画面を覆っています。
それは西洋絵画の光ではなく、日本のトラッドな光の在り方です。
その光で、写生(生を写しとる)しているのが、川田さんの絵ではないかと思います。

ご高覧よろしくお願い致します。



2002年藍画廊個展
2004年藍画廊個展



会期

2008年11月10日(月)-11月15日(土)


11:30am-7:00pm(最終日6:00pm)


会場案内