若宮綾子展の展示風景です。
画廊入口から見て、正面の壁面です。 小さな石膏の作品が13点並んでいます。 最少が左端で50(H)×20(W)×5(D)cm、最大が右端で80×55×52cmの大きさです。 |
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入口横右の壁面です。 これも小さな作品で、1点展示されています。 35×54×28cmです。 |
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右側の壁面です。 こちらも1点の展示で、15×150×55cmです。 以上15点が画廊内の展示で、その他道路側ウィンドウに2点、芳名帳スペースに1点の展示があります。 作品はすべて石膏を使用しています。 |
右側壁面の作品に近づいて見ます。
壁面から突き出す感じで展示された、石膏の作品です。
不定形の薄い板のように見えます。
形が良く分かるように、真下から撮影してみました。
デリケートで、美しいフォルムですね。 しかし、このフォルムは専ら作家の造形によるものではありません。 ある意味、自然に生まれた形です。 |
若宮さんの近年の作品は石鹸を素材にしています。
自分で作った石鹸です。
その石鹸を日常的に使用していると、徐々に減ってきて、形が変わります。
それを石膏で型取りしたのが、今回の作品です。
正面の壁面を横から撮影した画像です。
右側が使用して間もない石鹸の形で、左に行くにしたがって石鹸の使用時間が長くなっています。
フォルムが小さくなって、変化していくのが分かりますね。
1個の石鹸の(使用による)変化を、時間軸で表した作品といえます。
反対側からも見てみましょう。
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だんだん小さく薄くなって、スベスベになっていく石鹸の形です。
石鹸の一生を見ているようです。
バスルームで、使えなくなるほど小さくなった浴用石鹸は、新しい石鹸に付けられます。
そして知らないうちに形が吸収されて、消えていきます。
入口横右壁面の作品です。
弓形に反った、小さな石鹸片のフォルムです。
若宮さんの作った石鹸は、ハンドメイドですから、武骨な四角い形をしています。
その石鹸が使用され続けると、微妙で、繊細なフォルムになっていきます。
逆説的ですが、純粋(ピュア)な形になっていくような気がします。
石膏の白も、その純粋さを強調します。
純粋とは汚れを知らぬことを指しますが、石鹸は汚れにまみれて、純粋に到達します。
つまり、この作品の背後にあるのは、すべてを肯定する考えです。
純粋を守るのではなく、汚濁にまみれることによって獲得されるフォルムの純粋の美しさ。
そこにあるのは、人為では為しえないフォルムと、それが表現する精神性です。
ご高覧よろしくお願いいたします。
2001年藍画廊個展
2002年藍画廊個展
2004年藍画廊個展