若宮綾子展の展示風景です。
画廊内に展示された作品は三点で、上は入口横右の壁面の作品です。
小さな作品です。
作品は、石鹸をシフォンジョーゼットで包んだものです。
石鹸は自家製で、しかもある程度使ったものです。
形が不定形なのはその所為です。
シフォンジョーゼットは、スカーフなどに使われている伸縮性のある薄い半透明の布で、それが六枚ほど重ねてあります。
重なったシフォンジョーゼットと光(画廊の照明)が、正面と側面の色を異なっているように見せています。
画廊入口から見て、正面と右側の壁面です。 正面壁面と右壁面に架かるように設置された作品です。 サイズは、26(H)×18.2(W)cm。 |
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入口横右の壁面です。 サイズは、10(H)×14.5(W)cm。 |
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左側の壁面です。 サイズは、11(H)×4(W)cm。 以上の三点の他、道路側ウィンドウに一点、芳名帳スペースに八点の展示があります。 作品の素材は石鹸とシフォンジョーゼットです。 |
不定形な支持体をシフォンジョーゼットの重なりで包む(張る)制作は、若宮さんの近年の表現です。
その点では今回の展覧会も同じですが、支持体の素材と色相が異なっています。
展示されている作品の数も少なくなっています。
広いとはいえない藍画廊の空間ですが、一般よりは高い天井高と道路側の開口部を生かした小品三点の展示は、思った以上の開放感を与えています。
支持体がパネルから石鹸に変更され、形は微妙な曲線の凹凸を含んでいます。
それは、自家製石鹸を日常的に使用した結果得られた形の表情です。
バスルームの石鹸入れに置かれた石鹸を思い浮かべて下さい。
あの形状です。
角がとれて、不定形に歪んだ石鹸の形です。
正面と右側の壁面に渡された作品です。
26(H)×18.2(W)cmですから、かなり大きな石鹸です。
美しい赤系の色相ですが、奥の方がウッスラと紫になっています。
シフォンジョーゼットの重なりが作りだした色の変化です。
低い位置の展示で、腰掛けるイスのようにも見えます。
入口横右壁面の作品です。
最初にご覧いただいた画像は横からのショットで、こちらは正面から撮影です。
横から見ると緑に見えた面は、正面から見るとは黄土色です。
前回、前々回の藍画廊個展と比べると、色の鮮やかさ、輝度が上がっています。
色が輝いて見えます。
色が空中に舞っているように、見えます。
広い空間に置かれた色の姿は、微妙に色を変化させ、舞い続けているかのようです。
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左側壁面の作品です。 使い込んだ石鹸をシフォンジョーゼットの重なりで包んだ作品。 これは人(人体)のメタファー(暗喩)かもしれません。 |
バスルームの石鹸の形がバスルームの数だけ異なるように、人の形や性格も人の数だけ存在します。
同じ人(人体)は、存在しません。
石鹸がお湯で溶け、身体やタオルで擦って変形するように、人も変わり続けるからです。
シフォンジョーゼットを纏(まと)った石鹸。
白い舞台の上で、輝きながら色を変化させています。
腰を落とし、つま先立ち、ジャンプしながら、踊りは続いています。
最後は道路側ウィンドウの作品です。
夜の撮影で、ウィンドウに夜景が映り込んでいます。 赤い、小さな、色の塊。 この作品は角度を変えてもほとんど色が変化しません。 ご高覧よろしくお願いいたします。 |
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