新世代への視点2024 湯口萌香展
YUGUCHI Moeka
本展は東京現代美術画廊会議企画 「画廊からの発言-新世代への視点2024」の一環です。
7画廊が推薦する40歳以下の新鋭作家による個展を各会場で開催します。
http://galleryq.info/news/news_newgeneration2024.html
藍画廊の湯口萌香展の展示風景です。
展示室Aの展示です。
展示室Bの展示です。
湯口萌香展は9点の立体作品で構成されています。
作品の詳細をご覧下さい。
展示室A、床面の壁面です。
左はタイトル「棒状(L)」(磁土)で5×85×5cmです。
右は棒のクローズアップです。
展示室A、窓の作品です。
左は「キュートのアグレッション」(長石、磁土)で6×11×7cm、右は「棒状(長)」(磁土)で3.5×33×3.5cmです。
展示室A、右壁面の作品です。
左から「愛着 Sサイズ」(磁土)で11×8.5×3cm、「侵入者」(長石、磁土)で8×11×4cm、「不自然じゃなくなる」(長石、磁土)で2×10.5×10.5cmです。
展示室B、中央と窓の作品です。
「ラヴコレクション」(磁土)で各15×11×4cmと3×13×11cmです。
展示室B、右側床とコーナーの作品です。
左から「ラヴコレクション」(磁土)で各15×11×4cm、「忙しなくふるまったって」(磁土、釉薬)で6×9×5.5cm、「わたしだけ違ったの」(磁土、木)で30×20×2cmです。
<作家コメント>
「キュートと生、活、」陶を主素材に“かわいい”やその周辺の現象を引用した抽象的な立体物を制作している。
“かわいい”は世の中で求められつつも重要な位置からは排除されてきたように思え、このねじれた立場が私にとっては興味深い。
今回は人の生活、生存活動とかわいい(=キュート)の関係について考える。
本展は湯口さんの“かわいい”考察シリーズの最新作です。
いつものように陶で制作した作品ですが、今回のメインキャラはウサギ、クマ、イヌです。
そしていつものようにキャラクターの台座はハードなテクノ仕様です。さて、人はなぜ“かわいい”を必要としているのでしょうか。
湯口さんの作品を見ながら少し考えてみます。
現代はキャラクタービジネスが全盛なので、“かわいい”は今様と思われがちです。
しかし歴史を振り返ってみれば“かわいい”はいつの時代にもありました。
縄文の埴輪などもどこか“かわいい”ですし、ペットも古い時代からありましたし、江戸時代の浮世絵にも動植物の“かわいい”はあります。
つまり大まかに言ってしまえば、“かわいい”は人にとって普遍の感情かもしれません。“かわいい”とは愛情の発露です。
それも対象に無制限に与える愛情です。
これはある種のガス抜きではないでしょうか。
いつの時代にも人間関係のストレスは尽きません。
そんな時にペットであれ縫いぐるみであれ、感情を露わにして見つめたり、抱きしめる行為は気分をリフレッシュします。
“かわいい”はある意味社会を安定させる必需な感情の在り方です。
であるからして、湯口さんはコメントで「重要な位置から排除される」とグチっているわけです。ところがです、湯口さんの作品は“かわいい”のですが、その表現は過剰で幾分グロテスクであり、気色の悪さを感じさせます。
これは作品による批評ですね。
“かわいい”は有用であるが、度が過ぎたり、シチュエーションによってはバッドであると。
それもこれも人間の性(さが)みたいなものであるが、“かわいい”をキワモノと見たりするのは誤りではないかという見解です。
あるいは“かわいい”には沼があって、ハマるとコワイよというアドバイスかも。
そんなわけで、湯口さんは真正面から“かわいい”の制作と考察に取り組んでいます。
それは人間の研究であり、他ならぬ湯口さん自身の解剖でもあるように感じました。
その重なり具合が実にアーティスティックでグッドです!
ご高覧よろしくお願い致します。
2011年「たまびやき」多摩美術大学工芸学科 /陶/選抜作品展
2018年藍画廊個展
2019年藍画廊個展会期
2024年7月22日(月)ー8月3日(土)
日曜休廊
11:30ー19:00(最終日17:00)
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