斎藤英子展
SAITO Eiko
斎藤英子展の展示風景です。
上から、(入口から見て)左壁面と正面壁面、右壁面、入口横壁面の展示です。
以上の30点(小展示室を含む)で斎藤英子展は構成されています。
タイトルはすべて無題です。
作品の詳細をご覧下さい。
左壁面の作品です。
針金、マーキングテープ(蛍光ピンク) を使用で、サイズ31×37×30cmです。
正面壁面の3点です。
針金、マーキングテープ(蛍光ピンク) を使用で、47×40×21cm(×2)、 42×43×29cmです。
右壁面の2点です。
針金、マーキングテープ(蛍光ピンク) を使用で、29×25×17cm、27×21×15cmです。
右壁面、左端、左から2番目の作品です。
左右とも紙、蛍光ペン、水糸、リフィルを使用で、30.6×44.5cmです。
右壁面、右端の作品です。
紙、蛍光ペン、水糸、リフィルを使用で、30.6×44.5cmです。
入口横壁面、左側の作品です。
全作品とも紙、蛍光ペン、蛍光マーカー、水糸、リフィルを使用で、23×30cmです。
入口横壁面、右側の作品です。
紙、蛍光ペン、蛍光マーカー、水糸、リフィルを使用で、23×30cm 、21×29cm(×2)です。
〈作家コメント〉
「ゲリラ豪雨」が頻繁に起きだした頃、近所の「畑」があっと言う間に「田圃」になるのを目撃した。
しかし、今ではその土地に住宅が並び地面は見当たらない。
「四季の移ろい」を農家の木々に見つけ、農作業と連動する光景を愛おしく思っている。
私は今、心のよりどころ原風景を探す旅をストップしている。
自由に遠出が出来ない・・・したくない・・・「諦めか?」・・・
ー ジレンマと憂鬱 ー
「幾度となく空を見上げる。」顔を上げれば気分も変わる!と、信じ・・・
今の救いになるかなぁ? 両手を上げ グッと 出来る限り伸ばし 掌を広げる。
すると瞬時に、以前体感した「樹冠の遠慮/クラウン・シャイネス」の空間をイメージした。
光と風が降り注ぐ! 「うあっ」と、声をだし両手を上げゆっくり回転する。
高揚しクラウン・シャイネスと同化する自分を俯瞰し「 生きていることへの歓喜 」を再確認していた。
この10年、蛍光ピンクが幾度もアラートを告げ迫ってくる。
仙台の日和山へ向かう途中、目に飛び込んで来た鮮やかな色は、マーキングテープの蛍光ピンクだった。
近づく危険に気付くよう!目印になるよう!に・・・
蛍光ピンクが、私には「彼方と此方を分ける色」になった。
イメージや実際の暮らしの中でこの色がある光景が、日に日に増し蓄積される。
あまりにもアラートだらけの毎日は、ずっと以前の無防備な日々と二分化され、まるで「 汽水域 」の世界にいる様だと考えるに至った。
今は一段落しているように見えるコロナウィルス。
しかし近い将来起こると言われる、首都圏直下型地震、東海沖地震、南海トラフ地震、富士山の噴火、そして異常な気候変動。
わたしたちの行く先はアラートだらけです。
近年の人災に加えて、日本の地勢的宿命である自然災害。
しかし災害以上に、自然は日本に恵みを与えています。
美しく、瑞々しい、水と緑の列島。
その恩恵に感謝しながら、アラートに備えるべきと斎藤さんの作品は教えているように思えます。
アラートは道標(みちしるべ)です。
画廊に散りばめられたピンクのテープや水糸は、生きることの道標です。
それは斎藤さんが全身で感知した、生きる希望です。
山道で迷ったら、ピンクのテープが命綱です。
生きることに迷ったら、やはりピンクのテープが道標です。
そのピンクのテープはどこにあるのか。
それは日常のどこかにあります。
ふと見上げた空にあるかもしれません。
近所の水辺の流れにあるかもしれません。
それは蛍光のピンクですから、見ようと思えばすぐにわかるはずです。
探すのは、GPSや他の誰でもなく貴方であり、わたしです。
わたしたちの身体だけが察知するサインであり情報です。
本当の道標はそこにあるような気がします。
そのことを、斎藤さんのインスタレーションやドローイングは示していると思います。
ご高覧よろしくお願い致します。
会期
2021年10月25日(月)ー30日(土)
11:30ー19:00(最終日18:00)
会場案内