上野茂都展
薩摩芋による新作
UENO Shigeto


上野茂都展
の展示風景です。






上野茂都展は床面に87点の展示で構成されています。
作品はすべて薩摩芋を使用していて、タイトルは便宜上1-1から6-15のナンバーが付けられています。
(その他、画廊の白い棚にも薩摩芋、人参の作品があります。)
作品の画像を御覧下さい。










薩摩芋といえば、懐かしの石焼芋、あるいは母がおやつに作ってくれた蒸かし芋。
昭和中期のスイーツの定番で、庶民の味です。
昨今は焼芋がブームで、銀座にも専門店があるそうです。
とは言っても、気軽さ、カジュアルさが焼芋の本領で、気取った西洋スイーツにはない魅力があります。

さて、上野さんの薩摩芋彫刻(置物)、これまでも石、紙、石鹸、布、ブロンズと何でもござれでしたが、インパクトは今回が一番かも。
清く整列した、色合いも素敵な置物、それが薩摩芋と聞けば誰でも驚きます。
しかし、「なんで又?」という素材に関する質問はありません。
それほどに薩摩芋にマッチした像が、そこにあるからです。
奇をてらったわけでもない、素材の自然な在り方が作品に宿っているからです。

上野さんの作品には、芸術臭があまりありません。
上野さん自身も芸術家とは形容しがたい風情の方です。
かといって、職人、工芸家の姿とも違う。
何とも名付けようのない職能の人で、町に溶け込んだ市井の人です。

薩摩芋でできた置物は、上野作品でお馴染みの塔やトルソがモチーフですが、有機な素材を活かしたところが新鮮です。
素材のあるがままにちょこっと手を加える。
あるいは、素材のなすがままに任せる。
つまり、人間の手を必要以上に加えない姿勢、制作方法です。
それが薩摩芋(植物)の資質を活かしきった作品になっています。

芸術とはヒューマニズムの別称ですが、この作品は幾分違います。
人間を中心に置かない、人間中心主義とは異なる置物の数々です。
だからかもしれませんが、大らかで、笑いがあって、しかもシニカル。
この味には、江戸から続く芸能の血が入っていますね。

ご高覧よろしくお願い致します。

プライスリスト1
プライスリスト2

2005年藍画廊個展
2006年藍画廊個展
2008年藍画廊個展
2011年藍画廊個展
2013年藍画廊個展


会期
2019年12月16日(月)ー21日(土)
11:30amー7:00pm(最終日6:00pm)

会場案内