藍 画 廊



瀬古徹
-Tonic on the wall-
SEKO Toru


瀬古徹展の展示風景です。

 



各壁面ごとの展示をご覧下さい。



画廊入口から見て、左側の壁面です。
左から、タイトル「a board no. 47」でサイズ19.5(H)×7.8(W)×0.6(D)cm、「a board no. 53」で16.1×6.5×0.6、「a board no. 40」で13.2×8.8×0.3です。



正面の壁面です。
左から「a board no. 39」で11.7×9.5×0.3、「a board no. 45」で19.0×9.8×0.3です。



右側の壁面です。
左から「a board no. 51」で10.1×10.0×0.7、「a board no. 46」で10.1×8.1×0.6 、「a board no. 49」で15.1×10.1×0.6です。


入口横の壁面です。
左から「a board no. 48」で11.1×9.0×0.5、「 a board no. 38」で15.0×9.8×0.3です。

以上の10点が展示室の展示で、その他小展示室に1点のドローイング、事務室壁面に1点の展示があります。
作品はドローイング以外はボードにキャンバス、油彩です。


左壁面の「a board no. 47」と「a board no. 53」です。
瀬古さんの「a board」シリーズは不定形のボードに麻布のカンヴァスを貼り、油彩で描く作品です。
特徴は、右の画像をご覧いただくと分かる通り、ボードは背後に付けられた厚い木製の支持体で、壁から浮き上がったような構造になっています。
それらが一体となって、一つの絵画を形成しています。



左壁面の「a board no. 40」と正面壁面の「a board no. 45」です。
「a board no. 40」を見ると側面(背後の支持体)まで絵が描かれているのが分かります。



正面壁面の「a board no. 45」と右壁面の「a board no. 51」です。
前回に比べるとペイティングは絵画色が強くなっていて、逆に全体の形状は通常の絵画からはより離れています。



右壁面の「a board no. 46」と「a board no. 49」です。
正面から見るとオーソドックスな抽象絵画ですが、色彩の美しさと鮮やかさに目を奪われます。



入口横壁面の「 a board no. 38」を正面から見た画像と斜め横から見た画像です。
「一粒で二度美味しい」というか、見方で二度三度楽しめる絵画です。



入口横壁面の「a board no. 48」と事務室壁面の「a board no. 54」 です。

画廊の壁面の本展によせた瀬古さんのコメントが貼付されていますので、全文を転載いたします。

― Tonic on the wall ―

何かの記憶をたどる。
あるいはそれは、ささやかな誤解だ。


私はいい加減な自分の“思いこみ”を軸に制作することしかできない。


美術とは何かの証明ではない。
それはひとつの真実だと信じたい。

その真実に参加するために、私はとりあえず、太陽の恩恵をトリミングする。

しかしその真実は、現実という大きなうねりの中で居場所を見失いがちだ。


とりあえずこれくらいの規模が良いのだと思う。
現実のうねりの中で、これくらいの瞬間が良いと思う。


「一服の...」(“一幅”ではなく)という表しが似合うような作品を生み出していきたい。

2011.11.14 瀬古 徹



「tonic
on the wall」とは、瀬古さんの造語で、壁にかけられた清涼といったような意味です。
tonicには強壮剤といった意味もありますが、まさに清涼感と強さが入り混じった絵画といえます。

瀬古さんのa boardシリーズは変化し続けています。
当初の単色の中間色で、カタチの面白さを追求したものから、「正統的」な絵画に近づいています。
以前の幾分淡白で、それ故自然な色合いから、意志を持った色彩に変わっています。
それでも正統的がカッコ付きなのは、その全体のフォルムが瀬古さん独自のものだからです。

絵画を支える支持体を絵画の一部に取り込んだ形式は珍しいものではありません。
しかし瀬古さんの支持体の取り扱い方は、唯一無二といっていいでしょう、
絵画の一部としてその存在を主張しています。
当初密やかだった支持体は、絵画を構成する要素として、壁面から起立しています。

正面から瀬古さんの絵画を見る。
その控えめでありながら、自立した色彩の強さに魅入る。
横から見てみる。
汚れとも思える絵の具の跡が、正面の色彩と繋がっている。
上から、下からも見る。
絵画は立体のような姿を見せながら、絶対的に絵画で在り続ける。
その面白さの中に、絵画を絵画足らしめているものを発見する。

画廊の壁面に展示された小さな絵画。
それは、確かに一幅ではありませんが、紛れもなく絵画です。
そしてそれは、一服の安らぎや楽しさをわたしたちに与えてくれます。

ご高覧よろしくお願い致します。


2003年藍画廊個展
2009年藍画廊個展
2010年藍画廊個展


会期

2011年11月14日(月)ー11月19日(土)

11:30amー7:00pm(最終日6:00pm)



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