草加登起夫展の展示風景です。
カーテンを描いた平面です。
レースか、レースのように透けて見えるカーテンに映った向こう側の景色。
サブタイトルが示すように、2003年の個展に続くカーテンのシリーズです。
まずは各壁面ごとの展示をご覧いただきます。
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正面と右側の壁面です。 左の作品はF50号。 (上の画像の作品です。) 右はF10号です。 |
入口横右の壁面です。 |
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左側の壁面です。 左がF8号。 右はF20号です。 この他、道路側ウィンドウに一点の展示があります。 作品はすべてキャンバスに油彩です。 |
前回個展で描いたカーテンは主に厚手で、その襞(ひだ)の描写が印象的でした。
今回はレースのような薄手のカーテンで、カーテンの向こう側がシルエットのように映っています。
左側壁面(入口横左)の作品です。
レースのカーテンに透けて見えるのは、干された洗濯物です。
どこにでもある丸い形をした洗濯物干と洗濯物です。
もしカーテンがなければ、こちら側と向こう側の境界はありません。
そこにカーテンがあると、カーテンに映るのは「向こう側の表面」になります。
その視点が、草加さんの視点であり、今回の展示のテーマです。
カーテンの向こう側には窓があり、その窓枠が薄い布に映っています。
薄い布。
そういえば、キャンバスも薄い布ですね。
入口横右の二点です。
二点とも、レースのカーテンに映った洗濯物干しと洗濯物です。
右は、小さな縫いぐるみが干されているのでしょうか。
道路側ウィンドウの作品です。
サイズはF12号。
カーテンに映っているのは人の影のようです。
子供の影で、手を上げているように見えますね。
モノクロームに近い色彩で単純なシルエットを描いた作品展ですが、豊かな思考と視点の確かさに惹きつけられます。
観る行為と描く行為の関連にも、根源にさかのぼる思考があって、興味が尽きません。
「向こう側の表面」。
カーテンに映っているのは向こう側の表面です。
しかし一体、表面とは何でしょうか。
表面があれば、必ず内面(内容)もあります。
その境はどこにあるのでしょうか。
あるいは、表面とその外側とに明確な境界があるのでしょうか。
次々に浮かぶ疑問に頭を悩ませていると、その疑問の発信先がカーテンという特異な存在であることに気がつきます。
そして、カーテンと絵画の関係に思考が飛び、疑問はさらに増していきます。
疑問といえば、画廊入口に貼付してある作品リストの使用画材にはキャンバス、油彩、鏡と記してあります。
見たところ、鏡らしきものは見当たりません。
はて、鏡はどこに使っているのでしょうか。
(その謎は画廊で草加さんか画廊スタッフにお問い合わせ下さい。)
ご高覧よろしくお願いいたします。
2001年藍画廊個展
2002年藍画廊個展
2003年藍画廊個展